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2009中日韓農業発酵技術普及会
   2007年、2008年につづき、今年も農業技術普及会は鎮江で開催されました。今回のテーマは「発酵技術」でした。開催期間中、日中韓三か国からの専門家たちは発酵床利用畜産、発酵飼料と発酵堆肥三つの分野にわけ、内容豊富な報告と活発な意見交換を行い、大変有意義な会議となりました。
 参加日程
  開催期間 2009年9月3日〜9月6日
   9月3日 日本各地から現地入り、夜鎮江市政府主催の歓迎会に出席
    9月4日 普及会開会式、分科会&視察
9月5日 現場講演&カウントパートナーとの交流
    9月6日 帰国
参加者全員の集合写真
会見&歓迎会
 到着早々、陳建設副市長の会見に臨んだ。その場で、陳副市長は日韓の専門家に歓迎の意を表すとともに、長年にわたり鎮江市と農文協が行った農業交流も評価。また、農文協伊藤専務は代表団のメンバーを紹介し、参加への意気込みを語った 会見後、日中韓参加者全員が副市長主催の晩餐会に出席。
開会式
伊藤専務が共催者として開会挨拶を行う 「現代農業」(09年1月号と10月号)を見本に、堆肥技術利用と普及の重要性を紹介
鎮江市人民政府常務副市長の陳照煌市が主催者を代表して開会挨拶を行う 韓国益山市市庁畜産課長の鄭湧勲市が祝辞を述べる
分科会
   第1分科会  発酵床利用畜産
◎ 「(有)えこふぁーむにおける発酵床養豚の実践と示唆について
    鹿児島県高山町(有)えこふぁーむ代表取締役   中村義幸
  
 私達は、食品廃棄物を直接肥料化(堆肥化)するのではなく、餌として一旦与えて出てきたもの(排泄物)を堆肥化しようと考えました。つまり、豚を「生きた生ごみ処理機(大きな微生物)」の位置付けとしたのです。
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◎ 家畜糞尿の資源化
  韓国益山支庁畜産課長   鄭湧勲 
◎ 発酵床養豚の科学と誤解
  南京農業大学動物科技学院 教授
    第2分科会  発酵飼料
発酵飼料におけるわが養鶏場の模索とその到達点について」
 
栃木県益子町 高橋丈夫

 私は、焼き物の町として有名な栃木県益子町に生まれ、父の代から始めた養鶏を無投薬平飼養鶏に変え、そこから発生する有機肥料を有効利用しながら、野菜と卵の宅配を中心に、三〇年近く過ごしてきました。
 ・・・・・
 さまざまな病気の原因を考えると、食べ物などで変化していく体内環境と、自然環境を含めた体外環境から大きく影響を受けています。そこで、鶏の体内環境を左右する飼料の問題と、体外環境としての鶏舎を含めた鶏舎と自然環境の問題を取り上げてみたいと思います。
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  ◎ 微生物発酵飼料の生産と利用
中国農業大学農業部飼料工業センター 博士 陸文清
◎ 「発酵飼料の作り方とその注意点について」
  神奈川県小田原市 笹村出

 発酵飼料はとても可能性がある、飼料である。試行錯誤を続けながら、作っている。大きく分けて、「嫌気性の発酵である、サイレージ。」「好気性の発酵であるぼかし肥料」の二つの方法がある。鶏の飼料において、この二つの組み合わせたのは、私が最初ではないかと思う。
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  第3分科会  発酵肥料
◎ 中国畜産業の環境問題及びその対策
  中国科学院アカデミー会員、中国科学院南京土壌研究所研究員
 発酵堆肥作りの基本点と施用のポイントについて
――高温発酵よりも中温発酵が良い――

  (株)ジャパンバイオファーム代表 小祝政明

<堆肥化は高温発酵がいいとは限らない>
 一般に「堆肥」というと発酵温度が高いほうが良質になると思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。発酵温度が八〇度を超えるような場合、積算温度(発酵温度×時間)も高いとは限らず、むしろ最高温度が六〇度程度の発酵のほうが積算温度は高い場合が多いのです。
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 益山市における堆肥生産及びその利用の現状
  韓国益山市市庁畜産課課長 鄭湧勲
視察
   ☆ 恒欣肥料有限会社
 
 
恒欣肥料有限会社は黒酢の老舗として有名な「江蘇恒順集団」の子会社であり、2004年に設立した。設立の背景には、親会社の生産規模拡大にともない、香酢生産過程で発生する残渣の処理問題が深刻になってきた。と同時に、有機農産物への重要が高まるなか、有機肥料などに対するニーズも増えている。いかにして科学技術を利用して廃棄物となっていた酢の残渣を高品質の有機肥料に変えるのはこの新生企業が直面している課題である。
 普及会参加者らは肥料の発酵から商品までの製造過程を見学した。

工場から運ばれてきた、水分70%の香酢の残渣に発酵菌を加え、発酵させる 発酵過程に見学者らが興味津々
発酵の真っ最中 発酵完了の肥料は発酵場から加工場に運ばれる
完熟した肥料は粒状に加工し、袋に詰められる できあがった製品
    ☆ 白兎鎮農業科学技術モデル農園
 モデル園は1997年に設立し、栽培面積約35haであり、主に丘陵地帯の傾斜地に属する。主要品目のブドウ、イチゴ、モモ、ナシは南京、上海までに出荷している。また、栽培技術の普及により、周辺農家は栽培面積を拡大し、所得も大幅に増加したという。その成果が認められ、2005年10月に胡錦濤主席がモデル園を訪れた。
 見学の中で、参加者らはブドウなどの生育障害について見解を示した。今後さらなる栽培技術の向上が必要とされている模様。
    ☆ 長江乳業有限会社
 長江乳業有限会社は酪農、乳製品加工を中心事業とする鎮江市の「重点農業企業」である。敷地面積は30ha、飼養頭数は約1500頭。2008年工場移転を機に、糞尿処理の設備も導入した。日本の堆肥施設を紹介した農文協側はその成果を非常に注目する。


今年約500頭の牛が新牛舎へ引っ越したという 糞尿を処理してメタンガスにかえるプロセスの説明

固液分離を行った液体をいったん池にためる 一定の量になったらメタンガス発生措置に送りこむ
水分が少なくなった糞はこちらで発酵させるさせる フル稼働後に三つの発酵槽を同時に利用することになる
現場講演&カウンタパート交流
江心洲
恒欣肥料有限会社
丹徒天成畜禽生態養殖場
康茂飼料有限会社
長江乳業有限会社
感想・意見
 帰国後、参加者から貴重な感想と意見が寄せられました。
 ◎ 「中日韓農業発酵技術普及会」に加わって 笹村 出
 ◎ 2009年 中国江蘇省鎮江市 「中日韓農業発酵技術普及会」 参加報告 中村義幸
 ◎ 日中韓農業技術交流に参加して 中澤由幸
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