みんなの有機農業技術大事典
共通技術編・作物別編(2分冊・分売不可)
- 発売日:2025年3月
- 定価:44,000円 (税込)
- ISBNコード:9784540241055
- 出版:農山漁村文化協会(農文協)
- 判型/頁数:B5判上製(函入2分冊) 各1100頁予定
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事典にとりあげられた広範なテーマのなかから、今話題沸騰中の「耕さない農業」を深掘りします。草・ミミズ・微生物が土を育ててくれる、新しい不耕起栽培のやり方と可能性とは……?
『みんなの有機農業技術大事典』とは
化学肥料や農薬を減らそうと農家や研究者が試行錯誤して紡いだ有機農業の技術。本書はその集大成である。「共通技術編」では、有機農業の歴史や世界での広がり、地球温暖化防止や生物多様性維持に果たす役割のほか、緑肥や天敵利用、不耕起栽培や微生物活用などの基本技術を紹介。モミガラや米ヌカ、堆肥などの有機資材、納豆や米ヌカ、石灰や木酢液を利用した防除技術も解説する。「作物別編」では、水田や畑作物、野菜や花、果樹や茶、畜産の技術を品目ごとに網羅。執筆者約300人、農家約150人が登場する、みどり戦略時代必携の書である。
各巻紹介
共通技術編
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有機農業の歴史や世界での広がり、地球温暖化防止や生物多様性維持に果たす役割のほか、緑肥や天敵利用、不耕起など作目を横断する栽培技術を、農家事例を交えて紹介。モミガラや米ヌカなどの有機資材、納豆や米ヌカを利用した防除技術も解説する。
巻構成
カラー口絵
第1部 有機農業とは何か
有機農業の歴史と概念/世界の有機農業
第2部 有機農業と炭素貯留、生物多様性
炭素循環・炭素貯留・地球温暖化防止/チッソ固定・自然養分供給システム/アミノ酸吸収と収穫物の品質/有機農業と生物多様性
第3部 有機農業の共通技術
不耕起栽培・半不耕起栽培/緑肥・カバークロップ/混植・混作/天敵活用/輪作/有機物マルチ/太陽熱処理・土壌還元消毒/土ごと発酵/土壌診断・微生物診断と減肥/自家採種と育種、品種選び
第4部 農家の有機資材
モミガラ/モミガラくん炭/米ヌカ/ワラ・カヤ/竹パウダー・竹チップ/落ち葉/廃菌床/堆肥/ボカシ肥/土着菌(土着微生物)/木酢液/えひめAI/光合成細菌/タンニン鉄
第5部 無農薬・減農薬の技術
納豆防除/米ヌカ防除/石灰防除/酢防除・酢除草/高温処理・ヒートショック/病害抵抗性誘導/月のリズムに合わせて栽培/RACコード
第6部 話題の有機栽培
付録 天敵等に対する農薬(殺菌剤・殺虫剤・殺ダニ剤)の影響の目安/有機農業の推進に関する法律/JAS法(日本農林規格等に関する法律)/有機JASで使える農薬一覧
作物別編
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水田や畑作物、野菜や花、果樹や茶、畜産の技術を品目ごとに網羅。それぞれ第一線の農家に経営事例を執筆してもらい、品目別のつくりこなし、課題克服の工夫も読める。雑草や病害虫対策も充実。みどり戦略の「技術カタログ」にも多数対応している。
巻構成
カラー口絵
水稲
農家の技術と経営事例/播種と育苗/有機物施用と減肥/除草剤を使わないイネつくり/除草機の工夫/斑点米カメムシなどの対策
畑作・転作作物
ダイズ・ムギ・子実トウモロコシ・ソバ・雑穀
野菜・花
農家の技術と経営事例/品目別技術
(ナス、トマト、ピーマン、キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイートコーン、オクラ、エダマメ、インゲン、ソラマメ、エンドウ、ネギ、タマネギ、ニンニク、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、ナバナ、ホウレンソウ、コマツナ、葉物(春の菜っぱ、夏の菜っぱ)、レタス類、ダイコン、カブ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ショウガ、花卉)
果樹
農家の技術と経営事例/草生栽培/天敵を利用した防除技術
茶
農家の技術と経営事例/農薬以外の防除技術
畜産
平飼い養鶏/放牧養豚/放牧酪農
終章 有機農業は普通の農業だ――農業論としての有機農業
推薦のことば
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谷口吉光さん
日本の有機農業が始まって50年余。岡田茂吉や福岡正信が提唱した自然農法を含めると、じつに90年の歴史がある。どうしたら、農薬や化学肥料を使わずに(減らして)おいしい作物を安定生産できるのか。全国の農家がこの課題に挑戦し、苦労の末に築きあげた無数の技術の集積こそが有機農業である。近代農業に代わる新しい農業技術の体系。その全体像が、この事典の完成によって、初めて姿を現わした。みどり戦略推進のためにも必読の書である。 (秋田県立大学 名誉教授・谷口吉光)
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宇根豊さん
『みんなの有機農業技術大事典』は、有機農業の「技術」を学ぶ情報源にもなるが、それよりも、自分の生き方を考え直すきっかけになるだろう。百姓仕事は「技術」だけで成り立っているわけではない。この『事典』の多くの多彩な執筆者の語りのなかには、その人なりの生きものへのまなざしと生き方も露わになっている。(農と自然の研究所・宇根豊)
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久保牧衣子さん
農業を長期にわたって持続させるには、温室効果ガスの削減や生物多様性の保全が待ったなしです。農林水産省では、2021年に「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに「農林水産業のCO2ゼロエミッション化」、「有機農業の取り組み割合を全耕地面積の25%(100万ha)に拡大」するほか、化学肥料や化学農薬の低減目標を設定し、法律や予算等により推進しています。改正食料・農業・農村基本法にも環境との調和が基本理念として位置付けられたことを踏まえ、農林水産省では今後、有機農業をさらに推し進めていきます。 (農林水産省 みどりの食料システム戦略グループ長・久保牧衣子)
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魚住道郎さん
日本の有機農業は1970年代初頭、農薬による健康被害に問題意識を抱いた、農家と消費者の市民運動から始まりました。それから半世紀。この『みんなの有機農業技術大事典』は、模索し続けた農家の生の声と技術、そして官民による試験研究の集大成です。担い手の高齢化や近年の異常気象を考えれば、技術の伝承に一刻の猶予もない。そう思いながら、私も原稿を書きました。この事典の叡智が、多くの読者に広く届くことを願っています。 (茨城県石岡市・魚住道郎)
古野隆雄さん
アジア、北アメリカ、キューバ、南アメリカ、各国の有機農家に問題点を聞いてみました。答えはいつも同じ。除草です。株間の草はみな、鍬と鎌と手で取っています。世界中の百姓(小農)が苦労しているわけです。私は2016年に手作りの揺動式株間除草技術「ホウキング」にたどりつきました。現在は揺動しない「ストレートホウキング」に取り組んでいます。雨で硬くなった土をほぐしながら株間除草ができ、多雨の東アジア向きです。(福岡県桂川町・古野隆雄)
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東山広幸さん
大自然は雑草や害虫、病原菌によって、農地を森林に戻そうと強大な力で襲いかかる。これに真っ向から近代兵器で戦うのが慣行農法だとすると、専守防衛と外交交渉で自然と折り合いをつけるのが有機農法だ。一般的に無農薬・無化学肥料による栽培は難しいものと思われているが、自然の論理を理解すれば、少しの例外を除いて、決して難しくない。私が紹介したのは、たいていの条件で、すぐに安定した結果が得られる方法である。しかもカネもかからない。ぜひできることから試してみてほしい。(福島県いわき市・東山広幸)