「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2010年1月号
 

食農教育 No.72 2010年1月号より

給食のタマネギの皮でハンカチ染め!

兵庫・芦屋市立浜風小学校 栄養教諭 奥瑞恵

道具

・コンロ、鍋、ボール、ザル、輪ゴム、割りばし、石ころ、ハサミ(最後にゴムを切る)

材料(1班6人分)

・タマネギの皮(茶色の部分)…染める布の重さの1/2〜同量
・白い木綿のハンカチ…6枚(ピンからキリまでいろいろ試したが、百均のハンカチで十分。端ミシンのある礼装用ハンカチを取り寄せた)
・焼きミョウバン…布の重さの6%(約6g)

タダで大量に入手できる教材

煮汁の色(茶褐色)やにおいにも興味津々

 この楽しい企画を思いついたのは、じつは私の娘が小三の夏休みの自由研究で「タマネギの皮で絞り染め」に挑戦したことがきっかけです。子どもにも簡単にできて、しばっておいた輪ゴムをほどき、染めあがりを見るときのドキドキ感は最高、親子で楽しめました。

 「これはいける!」とひらめきました。なぜならタマネギは、給食で毎日のように使う食材だからです。しかも、これならタダで大量に入手できます。

生活科で皮むき図工科で絞り染め

 そして昨年度、一年生の生活科と図工科のコラボレーションでの授業が実現。まず生活科で給食に使うタマネギの皮むきにチャレンジ。目が痛くて泣いてしまった子どももいましたが、四〇〇人分の給食に使う食材の多さや調理の苦労を実感したことと思います。

 子どもたちには「タマネギの茶色の皮を使って、楽しいことをするから大切にむいてね」と期待感をもたせておきました。そして待ちに待った「タマネギの皮」が再登場したのは、図工科の時間でした。

 真っ白なハンカチをつまんで輪ゴムを巻きつけたり、石ころを包み込んで輪ゴムでしばったりと、絞りの模様になる部分をつくっていきます。タマネギの皮の煮汁で一五分ほど煮ると真っ白だったハンカチは渋い黄色の物体に。そして何本も巻いた輪ゴムをほどいていくと一人ひとりちがう模様が現れ、世界で一枚だけのすばらしい作品が完成!

 捨てればゴミになる「タマネギの皮」でこんな素敵な染めものを体験し、自分たちのむいたタマネギをおいしく給食でいただいて、タマネギを丸ごと楽しむことができました。


生活科

22kg分の給食用のタマネギをむいた!

図工科

ハンカチをつまんで輪ゴムを巻きつけたり、ハンカチに石ころや割りばしを包んで輪ゴムを何回かきつく巻きつけたりする
タマネギの皮を洗ってたっぷり水を入れ、30分ほど煮る
ハンカチの糊や汚れを落とすために中性洗剤で洗って乾かす
タマネギの皮の煮汁をこし、そのなかにハンカチをつけて、さらに15分ほど煮る
ハンカチをとりだし、焼きミョウバンを溶かしたお湯(媒染液*)に5分ほどつけ、その後、水道水で水洗いする
黄色く染まった!
*媒染液は、500mlの湯に焼きミョウバンを溶かしてつくる。ハンカチがゆったりつかるように水で薄めてもよい

連携プレーで授業に広がりがでる

 この企画では、図工専科、学級担任、給食室スタッフ、栄養教諭と多数の教職員がかかわることで、授業に広がりができました。楽しさを共有する人数が多いほど、その感動の輪はどんどん大きく膨らんでいくように感じ、うれしかったです。



「田舎の本屋さん」のおすすめ本

この記事の掲載号
食農教育 2010年1月号(No72)

学年で年間2.5t!給食・家庭の生ゴミを毎日堆肥化/長崎発、生ゴミリサイクル畑/給食のタマネギの皮でハンカチ染め/ミカンの皮で消臭/大量調理にアイデア小道具/回転釜で炊き込みごはん/ほか。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

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