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Ruralnet・農文協食農教育2002年7月号

 身近な自然はワンダーランド(2) 

いも虫毛皮のファッションショー

植原 彰/絵 まつもとつよし

小さい子は毛虫やいも虫になんの先入観も持っていないはずなのに、親や先生が「キャー」と言っちゃうもんだから、それを見て学んでしまいます。彼らも大切な自然の一員です。せめて「キャー」と言うのは心の中だけにしてもらいたいな……そんな思いで取り上げました。
 前回の草花と同じく、いも虫毛虫に鼻を近づけたところで襲いかかってくることはありません。だから、自然観察の基本である「じっくり見る」ことをしてほしいのですが、そんな状況があるので、まずはその「いも虫毛虫アレルギー」が自然となくなっていくような「準備運動」が必要です。
 それが「いも虫毛虫の綱渡り」。
 「お、いも虫くん、足を盛んに動かしています。と思ったら止まりました。なんか力んでいます。あっ、なんとウンコをしました!」などと実況中継すると、子どもたちも乗ってきます。
いも虫毛虫のつなわたり


いも虫毛虫は敵におそわれたときどうやって身を守ろうとするのかな?
 いも虫毛虫のほとんど全てはベジタリアン。他の動物を食べることはなく、食べられてばかり。「生態系の縁の下の力持ち」なのです。
 初夏は野山がいも虫毛虫だらけになるシーズン。ちょうどその頃を狙っているかのように、鳥たちは子育ての最盛期を迎えます。いつもは草の実などを食べている鳥も、自分の子どもには虫などの生き餌を与えます。雛を大きく成長させるためにはタンパク質が欠かせないからです。たとえばシジュウカラの夫婦が年2回繁殖して12羽の雛を育てたとすると、この一家が1年間に食べたいも虫の数は約百万匹にもなるそうです。
 つまり、鳥たちの命を支えているのがいも虫毛虫たちだと言えるのです。 鳥たちの美しいさえずりを聞いたら、「ああ、きれいな鳥の声が聞けるのも、いも虫毛虫のおかげなんだなあ」と、しみじみ思ってください。





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