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Ruralnet・農文協食農教育2002年3月号

食農教育 No.19 2002年3月号より

 私たち日本人の生活と古くから深いかかわりをもってきた、竹。弾力性に富み、硬くて折れにくく、縦に細かく裂くこともできるから、建築材、家具、調理具、楽器などに使われてきた。しかし、タケノコの輸入量が増え、竹材もプラスティックなどにとってかわられた今、全国の竹林が手入れされずにいる。  
 前田浩樹くんはこの竹を有効利用できないかと、2年続けて竹炭つくりに挑戦した。

(編集部)

竹をすべて50cmに切ります   縦2m、横1m、深さ30cmの穴をほります
竹をすべて50cmに切ります(左)縦2m、横1m、深さ30cmの穴をほります。少しほると粘土のようにかたい土が出てきた!ほったら、長い竹を縦にしいて、えんとつ、ブロックをおきます(右)

今度こそは成功させたい

切った竹を細いものからすき間なくならべて
切った竹を細いものからすき間なくならべて、高さ20cmに積み上げます。竹はわらずにそのまま使いました

 6年生のときは、弟の悟志や近所の人たちといっしょに、伏せやきというやり方で竹炭をつくりました。けっかは、う〜ん。上にかぶせたこもや枯草が燃えていません。でも、たき口付近の竹はみごとな炭になりました。真ん中あたりは炭にはならなかったけど、色つやもよかったです。「くんせいのええのができたな〜」と近所の人たちは持ち帰って、家に飾ったりしました。
 今回の自由研究では、友だちの常信宏人くん、常信勇人くんとぼくの3人で、もう一度竹炭つくりに挑戦しました。今度こそは成功させたいです。

炭つくりの手順

干草、こも、トタン板の順に重ねて
ガスボンベで火をつけ
干草、こも、トタン板の順に重ねて、中に入らないように土をかけます。たき口あたりをしんちょうに…… (上)
ガスボンベで火をつけ、うちわで煙を送ります(下)

 伏せやきは世界中で行なわれている、ふるくて簡単な炭焼きの方法です。庭先や田んぼでできるそうです。ぼくたちは、家のうらにある休耕田につくりました。まず、縦2m、横1m、深さ30cmくらいの穴をほります。たき口は低く、えんとつ側は少し高くほると風がとおりよいです。  
 むし暑い時期なので、汗だくの作業です。田んぼの土なので、はじめはやわらかかったけど、少しほると粘土のようにかたくなりました。水を入れてほりやすくしましたが、入れすぎてしまい、バケツでくみとらなければなりませんでした。この作業に1時間半くらいもかかってしまいました。
 穴をほりながら、竹をすべて50cmに切ります。竹は夏祭りで流しソーメンに使ったものや、そのへんにあまっているものを使いました。
 穴がほれたら、敷き木として、長い竹を縦におき、えんとつとたき口のブロックをおきます。そして、切った竹を細いものからすき間なくならべて、高さ20cmくらいに積み上げます。そのうえに、干草、こも、トタン板の順に重ねていきます。6年生のときは、このときにトタン板をかけ忘れてしまい、土がくずれて風がとおりにくくなってしまいました。今回はトタンをかけて、土が中に入らないように土かけをしました。ブロック付近がくずれやすく、むずかしかったです。  
煙がとう明になってきたら
煙がとう明になってきたら、たき口とえんとつをふさぎます
 土かけがおわったら、いよいよ点火です。ガスボンベで火をつけて、うちわで煙を送りました。今回は1時間ごとにえんとつの煙の温度を計りました。煙はどんどん熱くなります。はじめ水分の多い「水煙」、辛くてこげくさい「黄肌煙」、タバコに似た「青煙」、やがて無色とう明になります。はじめ温度計を縦につっこんでいたけど、熱すぎてとちゅうから横にして計りました。200℃をこえたとき、温度計がとけたと思ってあせりましたが、煙が液になったものでした。これが6年のときにとった竹酢液の正体です。  
 煙がとう明になったら、えんとつの上からバケツをかぶせて、土でふさぎます。もうすっかり真っ暗になっていました。常信くんたちも泊りがけです。

竹炭つくりのハイライト

翌朝、土をほりだすと……
翌朝、土をほりだすと……。思ったよりたくさんできました。大成功!

 次の日の朝、土をほりだします。果たして竹炭は……。  
 思ったよりたくさんできていました。大成功です。竹炭つくりの1番おもしろいところは、うまくいったかどうかわからないところです。次の日の朝、できているかな? とワクワクしながら土をほりだすときだと思います。  
 できた竹炭で水道水と洗たく排水の浄化実験をしました。竹炭をとおすと水道水の塩素が少なくなることがわかりました。そのあと、和紙につつんで、くつ箱やトイレにおいたり、ごはんをたくときの水につけたりしました。くさい臭いが消えるのです。常信くんはカメをかっているので、その水そうに入れたそうです。


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