地球  

全集 世界の食料 世界の農村

各巻の構成と内容


    ■世界の農業を見る目を肥やす

  1. 海外農村視察必携
  2. 七戸長生著
    出発前の準備から帰国後の報告書の作成、意志疎通法や手みやげにまで言及した実り多い旅のノウハウ。日本を見た外国人の目線や古今東西の旅の実例を紹介しつつ、視察のポイント、成果の生かし方を具体的に指南する。

    ■アジアの深奥を探る

  3. 東アジア農業の展開論理
  4. 今村奈良臣・金聖昊・劉志仁・羅明哲・坪井伸広著
    東アジア農業には、灌漑農業である、第二次大戦後に農地改革を実施した、零細な家族経営が主体であるが土地生産性が高い、という共通する特徴があり、欧米のそれとは異なる展開をしてきた。その実態と論理を分析する。

    ■農耕民のエートスとは

  5. 世界の農民群像
  6. 七戸長生著
    弱音をはかず、他人のせいにせず、泣き言をいわず、自らの腕と頭脳で生き、文化を創造してきた、中国・ドイツ・アメリカの農民たちの「生きざま」の根底にある共通した人生観、生活観に迫り、省みて日本の農民に問いかける。

    ■秩序なき日本の反面教師

  7. 土地を活かす英知と政策
  8. 犬塚昭治・柘植徳雄・中林吉幸・ 菅沼圭輔著
    資本主義的土地所有のイギリス、小土地所有のドイツ、市場経済化に向けた土地利用システムを模索している中国をとりあげ、その制度とコンセンサスを知ることによって日本の国土政策、農地政策への有効な示唆を得る。

    ■宿命から選択へ

  9. 農業の継承と参入
  10. 酒井惇一・柳村俊介・伊藤房雄・ 斎藤和佐著
    家を継ぐのか、経営を継ぐのか、地域社会を継ぐのか。自ら選び取った職業としての農業が成り立つために必要な条件、欧米の新規就農や経営の後継の方向を見据えながら、日本農業の継承と参入についての新しいあり方を考える。

    ■個と集団のハーモニー

  11. 先進国家族経営の発展戦略
  12. 中安定子・小倉尚子・酒井富夫・ 淡路和則著
    先進国の家族経営はいろいろなシステムに支えられて発展してきた。ドイツのマシーネン・リング(農業機械銀行)、フランスのガエク(共同経営農業集団)、日本の法人経営の分析を通じて家族経営を支える仕組みを考究する。

    ■世界のむらのエネルギー

  13. 村づくりの国際比較
  14. 是永東彦著
    兼業農業は悪ではない。ヨーロッパ諸国では近年、兼業農業を見直し、村づくりのエネルギーの源泉ととらえ、異業種交流を村づくり、地域興しの核に位置づけようとしている。兼業農業を再評価する基本文献。

    ■普及からサービスへ

  15. 世界の農業支援システム
  16. 竹中久二雄・杉本重隆・木村慶男・ 磯野定夫著
    公的普及事業から民間の有料コンサルタント事業まで、農業を支援するシステムは多様化し始めた。増産目標から品質目標へ移行した現代日本にふさわしい農業支援のあり方を、アメリカ・ヨーロッパ・東南アジアから学ぶ。

    ■地域づくりの土台

  17. 地域資源の保全と創造
  18. 今村奈良臣・向井清史・千賀裕太郎・ 佐藤常雄著
    美しい農村景観をとりもどすにはどうすればよいか。イギリスのナショナルトラスト、ドイツの農村整備事業、わが国江戸時代の集約と循環の資源活用システムの考察を通じて、農村空間デザインの基本視角を提供する。

    ■開発から管理へ

  19. 水資源の枯渇と配分
  20. 今村奈良臣・八木宏典・水谷正一・ 坪井伸広著
    人類の歴史は水資源開発の歴史だった。農耕も都市も水なしには生まれなかった。アメリカ水田地帯の水資源配分ルール、東南アジアの水資源制約下の水利用システム、日本の水利近代化の帰結の考察を通じて、将来像を展望する。

    ■される側の期待ととまどい

  21. 開発援助の光と影
  22. 嘉田良平・諸岡慶昇・竹谷裕之・ 福井清一著
    世界一となった日本の政府開発援助(ODA)は、実際にはどのように使われているのか。東南アジアやアフリカ諸国での食料問題と直結する農業に対する援助の現場から、援助の貢献と影響、改善点を問う。巻末にデータ収載。

    ■ネットワーク編成の展望

  23. 農協改革の新視点
  24. 三輪昌男著
    自己改革の推進に拍車がかかる巨大組織・農協。だが、入れものとしての機構改革よりも機能の改革・再編を優先させるべきではないのか。農協再編に一石を投ずるダウンサイジング時代のネットワーク型再編論。

    ■世界の経験、日本の実践

  25. 消費者運動のめざす食と農
  26. ●第3回 福武直賞受賞
    大嶋茂男・村田武著
    従来の消費者運動の理念「協同の力で、よりよい商品をより安く」を乗り越えて、いま消費者運動は新しい理念を求めている。ECの消費者運動、日本の生協活動等の流れから、消費者運動の新たな潮流を解読する。

    ■農業政策から農村政策へ

  27. ECの農政改革に学ぶ
  28. 是永東彦・福士正博・津谷好人著
    イギリス・フランス・ドイツで展開された80年代以降の農政のパラダイム転換を詳述し、その転換の意味を解明する。環境や農村空間への配慮に満ちた改革理念は、アジアのわが国にも貴重な示唆となる。

    ■「むら」への無理解の代償

     

  29. 20世紀社会主義農業の教訓
  30. 谷口信和著
    20世紀社会主義の壮大な実験、集団農場は終わった。農業生産力、食料供給力の発展にどう寄与したのか。崩壊せざるをえない要因はどこにあったのか。法人化・集団化しつつある日本農業への教訓をくみ取る視角から総括する。

    ■21世紀の農法選択

  31. 環境保全型農業の現在
  32. 嘉田良平著
    欧米でのめざましい進展と中国・日本・東南アジアでの実態を紹介しつつ、その技術(農法)的基礎と制度・政策的課題を明らかにする。21世紀の持続可能な農業発展の道すじを提起する。

    ■地域の個性を活かす

  33. バイオテクノロジーの農業哲学
  34. 西尾敏彦・中島征夫・大澤勝次・宮田満著
     「哲学」を踏まえたバイテクによる技術革新は、日本農業に新しい飛躍をもたらす可能性を秘めている。その技術的基礎と最先端技術を解明すると同時に、日本各地で地域個性の発揮や村づくりに活用している農民群像を紹介する。

    ■食料需給長期展望の検証

  35. 世界は飢えるか
  36. 森島賢・大賀圭治・金井道夫・中川光弘著
    この三〇年間、世界の食料需給はどのように推移し、今後三〇年間にどのように変化するのか。単収、品種改良、生産面積、技術革新、気候変動、環境変化、食生活の変貌等を考慮に入れてシュミレーションする。精密な各種データ収載。

    ■農産物貿易の実相

  37. 食料輸入大国への警鐘
  38. ●第10回 NIRA政策研究・東畑記念賞受賞
    堀口健治・矢口芳生・豊田隆・加瀬良明著
    カネを出せば食料を輸入できる時代は続くのか。多国籍企業の活動、南北間の対立、地球環境の変化を視野に入れ、日本の食料輸入がもたらす影響について、国民的議論をまき起こすためのデータと論理を提供する。

    ■卸売市場の国際比較

  39. 変貌する農産物流通システム
  40. 小林康平・甲斐諭・福井清一・ 諸岡慶昇・菅沼圭輔・浅見淳之著
    日本の青果物の七〜八割は卸売市場を経由して消費者に届けられる。市場は正常に機能しているのか。イギリス・フランス・ドイツ・オランダ・アメリカ・中国・東南アジア等の流通システムを比較検討し、日本の課題を整理する。

    ■世界貿易機関の仕組みと各国戦略

  41. WTO体制下の食料農業戦略
  42. 今村奈良臣・服部信司・矢口芳生・ 加賀爪優・菅沼圭輔著
    九五年からスタートしたWTO体制下の新貿易ルールとは何か。アメリカ・EU・オーストラリアはいかなる戦略のもとにガット交渉に臨んだのか。着々と構築された各国独自の戦略と中国の動向を見据え、日本の課題を浮き彫りにする。

    ■東アジアの視点から

  43. 食生活の表層と底流
  44. 吉田忠・田村安興・重冨真一・佐々木隆著
    食は、素材の生産・流通・加工・調理・摂取という一連の過程であり、その国の自然・経済・文化の反映として存在する。文化は食を持続させ、経済は食を変貌させる動因である―その仮説を中国・朝鮮・タイ・日本で検証する。

    ■農業政策と栄養政策を結ぶ

  45. 先進国に問う食政策
  46. 並木正吉著
    食料政策と栄養政策の結合をめざす北欧諸国、国を挙げて食生活改善のキャンペーンを繰り広げるアメリカ、独自の食文化を誇るヨーロッパ諸国。政策転換を生んだ背景を克明に追いながら日本の食政策を考える。

    ■漁業大国から国際連帯へ

  47. アジア漁業の発展と日本
  48. 廣吉勝治・加瀬和俊・馬場治・張瑛秀・婁小波・増井好男・草野干夫・菊池章裕・友部秀器著 地球環境問題と資源保護の声の高まりの中で、世界の漁業の再編成の荒波が押し寄せつつある。いま日本漁業の国際的位置は?日本国民が世界と日本の漁業の真の姿を知るための基本文献。巻末データ充実。

    ■経済の論理と自然の論理

  49. 森林資源の利用と再生
  50. 永田信・井上真・岡裕泰著
    なぜ日本では森林が残り、フィリピンでは消滅してしまったのか。経済発展の初期段階に豊富にあった森林が発展につれて減少し、ある時点で再び増加するという「U字型仮説」の検証を、欧米・日本・東南アジアで試みる。

    ■脅かす要因と安全確保の道すじ

  51. 世界の食品安全基準
  52. 嘉田良平著
    食の安全を脅かす要因と背景を整理し、アメリカにおける安全確保のための運動、ヨーロッパにおける基準統一のための交渉経過をたどって問題の焦点をあぶりだし、食の安全を確保する筋みちを提示する。巻末に年表収載。

    ■21世紀の農業・農村の新しい役割

  53. グローバルに考えローカルに実践する
  54. 中安定子・犬塚昭治・七戸長生・吉田忠他著
    戦後五〇年、現行農基法施行三〇余年を経て日本社会は激変した。新しい世紀に農業・農村はどのような位置を占めるべきなのか。日本社会のなかで果たすべき農業と農村の新しい役割を、日本と世界にむけて発信する。本全集を総括する巻。

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