『シリーズ 地域の再生』地域に生き、地域を担い、地域をつくる人々のための実践の書
地域再生のフロンティア
中国山地から始まる この国の新しいかたち
小田切徳美 ほか編著
「過疎」という言葉が生まれ、人口減少・高齢化の先進地といわれる中国山地から、都市の郊外団地を含めた日本全国の地域再生のヒントを得ようとしたのがこの本。中国山地をモデルとする点は『里山資本主義』と共通するが、本書は現場で活躍する人自身が執筆し、より広範で地道な取り組みに光を当てている。
里山 耕作放棄地 内発的発展 全体最適 地域内乗数効果
地元学からの出発
この土地の生きた人びとの声に耳を傾ける
結城登美雄 著
「ないものねだり」で愚痴をこぼすより、暮らしの現場の足元にある「あるもの探し」をしてみよう。「資源カレンダー」「食資源調査」「鳴子の米プロジェクト」など、「何にもない」地域を見直す手法も充実。とくに「食の文化祭」は全国に広がった。
食の文化祭 T型集落点検 低投入・内部循環・自然共生 百姓仕事
水田活用新時代
中国山地から始まる この国の新しいかたち
谷口信和 ほか著
米の生産数量目標の配分が廃止され、多額の補助金が導入された飼料用米が注目されるなか、その価値を見直されているのがこの本。風土的条件にあった穀物を最重要の飼料穀物として位置づけるべきだという本筋から、水田の多角的利用による土地利用型農業と畜産再生の道を、総合的かつ具体的にビジネスとして提言している。
農協 集落営農 農的福祉力 アグロ・メディコ・ポリス 自然(再生可能)エネルギー 小水力発電 森林バイオマス 水田フル活用 自伐林業 「土佐の森」方式 木の駅プロジェクト 海業
共同体の基礎理論
自然と人間の基層から
内山節 著
前近代の象徴として否定の対象であった共同体を未来への可能性としてとらえ直す。「死者や自然を含めた共同体」「都市に開かれた共同体」という視点を切り拓き、3・11後の新しい社会のあり方にも大きな示唆を与え続けている。
多層的共同体 グローバリズム メンテナンス経済 食料主権
『グローバリズムの終焉』を読んで
かつて農文協文化部の『魚よなぜ高い――石油文明と魚』という本を読んで、日本の遠洋漁業が石油を浪費し、漁業資源を食いつくす歪みを知った。『グローバリズムの終焉』はコロンブスの航海をきっかけとする新大陸の征服が世界貿易の端緒になり、そこから「輸送の文明」が石油や原子力への依存の問題にまで続いていることを明快に述べている。漁業にしろ農業にしろ他の人間のために大量に生産し、遠距離輸送するのはまちがっている。TPPのような国家間の問題だけでなく、国内でも同じことだ。
『水田活用新時代』を読んで
本の中身からすると「日本が世界で一番の食料大国になる日」とつけても、おかしくない内容だ。序章を執筆した谷口信和先生が「アジア農業」「日本農業の土地利用」「日本国民」に向けた3つのメッセージは、今まで日本の中にあった「なんとなく農業」、特に土地利用型農業に対する閉塞感を打ち破る迫力がある。このほか、先進国とは、風土的条件に見合う飼料穀物自給基盤をもつ国であると説く第1部、いくらよいものをつくったとしても地域内で利活用されなければいけないと、水田活用によるコミュニティビジネスの展開を解説する第2部、輸入飼料なしでは成り立たないという神話を超えて、里地里山を活用した放牧による日本型畜産の可能性を丁寧に紹介する第3部と、まさに目から鱗の内容である。
『農の福祉力』を読んで
農の「生き物を対象として、生命を未来に繋ぐための営為」が、福祉をより積極的に捉えた「福祉力」と同じ方向性を持つことに気づかされ、「農と福祉」がかみ合った時の新しい可能性を感じられる。地域づくりに取り組む者として、誰もが暮らしやすい地域をつくる、新たな視点を得ることができた。
『百姓学宣言』を読んで
買ったらすぐ読みたい本でした。1回読んだだけではわからなくていま2回目です。自然というとらえどころのないものを"まなざし"を媒介させて解釈してゆく手法は新鮮ですが戸惑いもあります。定義づけでもあり 提案でもありますが、もう一度ゆっくりと読みたいと思います。手入れされた田を支援することはとても大切と思いました。(福岡県・68歳)
北海道北見市の米作農家の出身(18歳まで)なので この本に書かれていることは実感としてよくわかる。
著者 宇根氏の本を読んだのは今回が最初であるが副題に「経済を中心にしない生き方」とある。
著者にはこの視点から新たな人間社会のあり方 日本や世界のあり方の構想につなげて 一般化普遍化を推し進めるように期待したい。
なぜなら人間社会は統治機構を持たざるを得ないからである。
例えば 江戸中期以降、東北地方の百姓一揆に関与した政治集団の背景をなした安藤昌益は「自然」を「ひとりする」と読み、そこから派生した人間社会の基底原理を「耕」であるとした(「自然真営道」など)。
原理を得れば新しい構想へつながっていく。
また『百姓学宣言』なので「百姓」という言葉について「まえがき」で触れられている。姓や百姓の歴史的変遷は別として百姓は専業農民をさすものなのか。「網野歴史学」などでは「百姓=農民」は単純化、思いこみだなどと難クセをつけている。しかし、「百姓」を農林漁業を基幹としてどうとらえるかは「地域の再生」の構想に関わって重要な問題である。
宇根氏の考察が 都市と農村、企業資本当地などに及び その改編とそぎおとしに発展すれば「おもしろい」などと考えた次第である(北海道・68歳)
著者 宇根氏の本を読んだのは今回が最初であるが副題に「経済を中心にしない生き方」とある。
著者にはこの視点から新たな人間社会のあり方 日本や世界のあり方の構想につなげて 一般化普遍化を推し進めるように期待したい。
なぜなら人間社会は統治機構を持たざるを得ないからである。
例えば 江戸中期以降、東北地方の百姓一揆に関与した政治集団の背景をなした安藤昌益は「自然」を「ひとりする」と読み、そこから派生した人間社会の基底原理を「耕」であるとした(「自然真営道」など)。
原理を得れば新しい構想へつながっていく。
また『百姓学宣言』なので「百姓」という言葉について「まえがき」で触れられている。姓や百姓の歴史的変遷は別として百姓は専業農民をさすものなのか。「網野歴史学」などでは「百姓=農民」は単純化、思いこみだなどと難クセをつけている。しかし、「百姓」を農林漁業を基幹としてどうとらえるかは「地域の再生」の構想に関わって重要な問題である。
宇根氏の考察が 都市と農村、企業資本当地などに及び その改編とそぎおとしに発展すれば「おもしろい」などと考えた次第である(北海道・68歳)
…こんなこと(東日本大震災)になり農業もだいぶ変わってくることと思いますが、なんとか日本の農業 良い知恵出し合ってがんばりたいと願っています。まだまだ農業考えることがたくさんありますので学んでいきたいと思います。(新潟県・75歳)
第4巻『食料主権のグランドデザイン』
村田武(愛媛大学教授)・山本博史(農民連参与)・早川治(日本大学准教授)・松原豊彦(立命館大学教授)・真嶋良孝(農民連副会長)・久野秀二(京都大学大学院教授)・加藤好一(生活クラブ事業連合生協連会長)
第6巻『福島 農からの日本再生』
守友裕一(宇都宮大学教授)・大谷尚之(愛媛大学准教授)・神代英昭(宇都宮大学准教授)・鈴木治男(前鮫川村総務課長)・小松知未(福島大学准教授)・飯塚里恵子(千葉農村地域文化研究所)・菅野典雄(飯舘村村長)・小山良太(福島大学准教授)・棚橋知春(福島大学特任研究員)・根岸裕孝(宮崎大学准教授)・蜂屋基樹(農山漁村文化協会編集局)・板橋衛(愛媛大学農学部准教授)・吉岡宏高(札幌国際大学教授)・牧山正男(茨城大学准教授)・長谷川安代(国際開発コンサルタント)
第8巻『復興の息吹き』
田代洋一(大妻女子大学教授)・岡田知弘(京都大学教授) ・横山英信(岩手大学教授)・冬木勝仁(東北大学准教授)・小山良太(福島大学准教授)・濱田武士(東京海洋大学准教授)・池島祥文(横浜国立大学准教授)
第9巻『地域農業の再生と農地制度』
原田純孝(中央大学教授)・島本富夫(元農水省農業総合研究所所長)・橋詰 登(農水省農林水産政策研究所主任研究官)・安藤光義(東京大学准教授)・田代洋一(大妻女子大学教授)・鈴木龍也(龍谷大学教授)岩崎由美子(福島大学教授)・楜沢能生(早稲田大学教授)・中村正俊(山形県農業会議)・緒方賢一(高知大学准教授)・高橋寿一(横浜国立大学教授)・谷脇修(前全国農業会議所事務局長)
第13巻『コミュニティ・エネルギー』
室田武(同志社大学大学院教授)・倉阪秀史(千葉大学大学院教授)・小林久(茨城大学教授)・島谷幸宏(九州大学大学院教授)・山下輝和、藤本穣彦(九州大学大学院研究員)・三浦秀一(東北芸術工科大学准教授)・諸富徹(京都大学大学院教授)
東日本大震災で大きな被害を受けた私たちの相川集落では、仮設住宅や近隣町村への避難が世帯の分離を招き、一層の高齢化がすすんだ。地域に残る人々も疎外感を感じていたが、熊本大学の徳野先生の「T型集落点検」に出合い、そうした思いの原因は従来の世帯単位を家族とみるとらえかたにあることを悟った。先生のとらえ方に立てば、1〜2時間で時折訪ねてくる距離内に住む息子・娘や孫たちは、車社会では立派な家族の一員である。漁業や地域の復興のために必死に取り組みながらも、仮設住宅に一人で住む寂しさを感じていたが、私には家族があると心のなかに灯りがともった思いがする。