食農教育 No.65 2008年11月号より
簡単石窯で、焼きイモ・ピザ・棒パン!
一時間でできて解体・保管も自由自在
三ツ矢和仁
収穫の喜びに、プラスαの楽しさを
栽培活動として農作物を育てるという取組みは多く見られるものの、栽培・観察に力が注がれ、収穫できたらそれで成功(終わり)とするケースも見受けられます。しかし、農作物をつくる醍醐味とは、収穫をみんなで喜び、自分たちが大切に育ててきたものをおいしく楽しく味わうことなのではないでしょうか。
子どもたちに収穫の喜び、そしてプラスαの楽しみを与えるもの、それが“簡単石窯”です。石窯の魅力には、(1)石窯そのものをつくる楽しさ、(2)自分たちが大切に育ててきたものを、火の熱さを肌で感じながら焼きあげ、味わう楽しさ、(3)火を囲みながら、みんなで食べる楽しさ、などがあります。自分たちが大切に育てたものを、自分たちでつくった石窯で焼き、味わう。おいしさとともに、ワクワク・ドキドキする収穫祭。それが、私の工夫です。
筆者。石窯の前で一時間授業で石窯製作!
本誌二〇〇二年九月号の記事「一日でつくれる簡単石窯のつくり方」を参考に、最初の石窯づくりはスタートしました。子どもたちは、レンガを並べたり、レンガの隙間を粘土で埋めたりしながら自分たちの石窯を完成させました。保護者も楽しみながら参加してくれました。
その後、何度もつくりましたが、低学年でも積木・粘土遊び感覚ででき、製作時間はたったの一時間です。
収穫物をどんどん焼いて食べる
石窯では、その年の収穫に合わせて、焼きイモ・ピザ・棒パンなど、なんでもできます。リンゴを入れておけば、焼きリンゴもできてしまいます。
サツマイモを収穫したのであれば、ぬれた新聞紙で包み、さらにアルミホイルで包む。そして、石窯に入れるだけで、黄金色のホクホクのおいしい焼きイモができます。
小麦なら、子どもたちが生地をのばし、お好みの具をトッピングしたピザを石窯に入れて焼く。あっという間に焼きあがります。
小麦ではもう一つ、棒パンづくりも簡単で楽しいです。パン生地を薄くのばし、先端部分にアルミホイルをつけた棒に、らせん状に巻いていく。そして、置き火から少し離して、焦げないようにくるくる棒をまわしながら焼いて完成。ジャムをつけて食べるとおいしいです。手づくりジャムならさらにおいしさアップ。私の場合は、事前に学校の自然教材園で実ったキウイで、子どもたちとジャムをつくっておきました。
(注・棒パンづくりでは、石窯の屋根の部分は使いません。石窯の変形バージョンです)
『石窯のつくり方楽しみ方』
著者 須藤章・岡佳子 農文協
*本誌のほか、私が参考にした本です。つくり方などが詳しく書かれています。〈ポイント〉
(1)材料のコンクリートブロック・赤レンガ・土粘土は、ホームセンターなどで購入可。むずかしいのは、鉄板と鉄筋。私は、鉄工所に頼み、希望の大きさや長さに切ってもらいました。
(2)学校現場では、火や煙などの関係で、薪を燃やすよりも木炭のほうがよいと思います。また、石窯が温まるのが早くなります。
低学年でも積み木・粘土遊び感覚で組み立てられる 棒パンづくりでは、屋根の部分は使わない解体・組み立て簡単で、地域の行事にもひっぱりだこ
石窯は、レンガの隙間を埋める粘土を土粘土にすると、使用後に粘土が簡単にとれ、解体・保管ができます(本来は、据置きがいいと思いますが、学校などではむずかしい)。私がつくった石窯も何度も組立てと解体・保管を繰り返しました。
しかし、逆に簡単に組立てと解体・保管ができ、場所が変えられることなどにより、活躍の場が広がりました。学校だけでなく、子ども会の行事に、地域のお祭りに、PTAのバザーにと、大活躍しました。
石窯づくりは、どうしても多少の手間と時間とお金がかかります。しかし、それ以上に、素敵な空間をつくり、人と人を結びつけ、みんなを笑顔にしてくれます。ぜひ、挑戦してみてください。
(東京・小学校教員)
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