地域に根ざす食と健康の活動交流誌

食文化活動タイトル

<小学生・中学生> 「食生活学習教材」を家庭科でこう使ってみる
―-スポーツ・朝食をテーマに

岩手県 江刺市立学校給食センター(現・水沢市立学校給食真城共同調理場)
学校栄養職員 藤枝桂子さん

<部活が始まったこの時期だからスポーツをテーマに>

 藤枝桂子さんは、江刺市の給食センターに来て5年目。平成12年度からは食に関する指導実践協力調理場の指定を受け、食の指導にも積極的に取り組んできました。平成14年度は、「食生活学習教材」の配布もあり、「教材」を活用した授業実践を、と県から求められました。そこでその五月、江刺南中学校の家庭科の授業でさっそく授業を実践する機会が恵まれたのです。
 中学生用の「教材」は見ての通り、11のテーマに分かれており、どのテーマをどの時期に取り上げるかは、それぞれの地域や学校の現状にあわせて選べます。
 藤枝さんが選んだテーマは「スポーツのための効果的な食事」。家庭科の「健康的に食べる」の単元の中の1時間として取り上げました。(略)

<一流のスポーツ選手は  どんな食事をしている?>

 「これは誰の食事でしょう?」と、あるスポーツ選手の食事の写真を黒板にはりました。オリンピックの金メダル受賞者の食事と、ヒントを出して、生徒にあてさせます。
 「よく見てください。ごはんとみそ汁があり、お肉や豆腐、野菜、牛乳、果物などが入ったバランスのよい献立なんです」
 この献立の写真は、藤枝さんが雑誌や本などから探してきたものです。導入は、生徒の関心をひきつけられるように、と考えて、よく知っているスポーツ選手の食事にしたのです。一流のスポーツ選手は、練習だけでなく、食事にも気を使っていることを話します。
 では、運動をする中学生の場合はどんな食事が必要なのでしょうか。自分たちの問題として考えてみます。
 

 「教材」の2〜3ページの成長曲線のグラフを黒板にはり、中学生がどんな時期なのかを見せます。12歳から15歳までの間、成長が著しいことなどを指し示しながら、だからこの時期の食生活が体のために大事だと、改めて認識してもらいます。
 具体的に何を食べればいいかというところで、教材が登場します。16頁を開いてもらい、主食、主菜、副菜、汁物がそろった食事を基本に、果物や飲み物を付け加え、それぞれの競技特性にあった食事をするのが大事だと話をしました。(略)


「何を主菜にする?」みんなで相談します

各班の献立が出そろったところで、改めて「教材」を使って主食、主菜、副菜がそろった食事が基本にあることを確認します


<部活別の班に分かれて献立づくり>

 「それでは、実際に自分の競技にあった献立を考えてみましょう」  そこからは、部活別の班で活動します。前もって、部活の競技特性別ごとにグループ分けをと考えたところ、このクラスはうまいぐあいに野球(男子)、ソフトボール(女子)、バスケットボール(男子)、バスケットボール(女子)、テニス(女子)、卓球(男子)、卓球(女子)と七班に分けられました。
 野球、ソフトボール、陸上(短距離)は「瞬発力・筋力型」、バスケット、サッカー、テニス、バレー、卓球、は「瞬発力・筋力・持久力型」、マラソン、陸上(長距離)、水泳(長距離)は「持久力型」の競技に分類されます。その特性にあった食事のポイントについては、別のプリントを用意し、献立作成の資料にしました。この資料作りには、『小・中学生のスポーツ栄養ガイドブック』(樋口満監修、女子栄養大学出版部)を参考にしました。

 各グループには、和食の場合、洋食の場合に分かれた料理カードが配ってあります。プリントや教材を参考にして、話し合い、献立を考え、選んだ料理カードを模造紙に貼ります。緑色とピンク色の模造紙が用意されており、ピンク色が配られたグループは洋食、緑色は和食としました。
 それを黒板に貼りだし、それぞれグループごとに発表しました。
 「運動量が多いので、たんぱく質をたくさんとるようにしました」
 「疲労回復ためにビタミンCをとれる果物をつけました」
 それぞれ、主食、主菜、副菜、汁物をそろえた献立が工夫されています。
 野球部の考えた献立では、果物、牛乳、副菜に野菜を使った野菜炒めがはいっているところを赤のマグネットをつけながら評価し、「でも、野菜炒め、主菜の鶏の唐揚げにピラフとどの料理にも油が使ってありますね。主菜に油を使っていたら、油を使わない副菜を、というように組み合わせを考えるとエネルギーも抑えられるんですよ」と藤枝さんは発表された献立についての良いところ、改善するところを指摘しました。
 終わりは、自分の食事に関心を持って、自分の食事を工夫していこうとまとめました。(略)

 


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