地域に根ざす食と健康の活動交流誌

食文化活動タイトル

はじめに・本特集号のご案内

地域に根ざした食生活で、個性豊かな暮らしを
地域に根ざした食生活推進コンクール2001」のねらいと成果
(一部をご紹介します)

編集部

■画期的な、三省合同の「食生活指針

 平成12年3月に、文部・厚生・農水の三省合同で策定された新しい「食生活指針」には画期的なことがひとつあります。10ある「指針」の8つめに、「食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も」と提唱されたことです。

 これまでの厚生省策定「健康づくりのための食生活指針(昭和60年)」は、栄養改善の指針(一日30品目摂取・減塩・減脂肪など)といえるものでしたが、今回の「食生活指針」では、初めて「食文化や地域の産物」を活かすことが提唱されました。つまりは食文化重視・地産地消推進の国民運動が展開されることになったのです。

 農文協は、これまで地域の個性的な食文化を重視し、多品目の自給的生産を守る運動を展開してきました。農文協が多くの人々の力を借り十有余年の歳月をかけて全国の伝統的な食生活を調査・記録し「日本の食生活全集(全50巻)」を発行したのも、「いま記録しなければ永久に失われてしまう」日本の食文化の基礎資料を残そうとした意思の現われです。

 「食文化や地域の産物」を活かす「地域に根ざした食生活」こそ、21世紀の個性的で豊かなくらしのカナメです。それを提唱している「食生活指針」の普及・定着をはかるためのコンクールの事務局を農文協が受け持ち、平成12年度から五カ年間開催されることになりました。

■集まった「食文化継承」「地産地消」の取り組み

 平成12年度から新しく開催された「地域に根ざした食生活推進コンクール」(提唱:農水省、事業主体:農文協)は、その目的として「食生活指針を踏まえ、地域の特色を生かす健全な食生活、産物の活用、食文化の継承などに貢献している各分野の優れた特色のある活動事例を公募・顕彰し、地域に根ざした健全な食生活の一層の推進を図ること」において、全国規模で展開されたものです。

 今回の「食生活指針」はその普及・定着に向けた重点活動分野として、「食生活改善分野(栄養士・食生活改善推進員その他の食生活改善関係者)」、「教育分野(教員・学校栄養職員など)」、「食品産業分野(食品産業関係者)」、「農林漁業分野(農林漁業関係者)」の四つにおくことを閣議で決定(平成12年3月)しています。コンクールの応募分野も、この4つにおいて実践事例を集めましたが、募集期間が短かったにもかかわらずあわせて208事例の応募があり、その内容も質の高いものが多かったと審査委員の方々から評価をいただきました。

 審査の結果、12の団体・個人が優秀事例として選定され、平成13年12月2日に東京で表彰式が行われて、農林水産大臣賞ほかの賞が贈られました。

 本号では、表彰事例のなかから、食文化の継承に取り組む事例を中心に、特色のある活動を紹介しました。 (中略)

■今年は、あなたも応募を

 食の画一化が進むなかで、「地域に根ざした食生活」をどう取り戻すか。本号で紹介した実践は、それぞれ示唆に富む草の根の地道な取り組みです。「地域に根ざした食生活推進コンクール」は2002年度も開催されます。楽しみながらのユニークな実践の応募をお待ちしています。(募集の内容、応募のお問い合わせ先


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