ワラの活用を日本のベテラン農家が直伝

 

(本紙記者報道) 昨日、丹徒区科学技術局の招きを受け、日本で長年農業を営む松沼憲治さん(78歳)が江心洲の農家を対象に踏み込み作業の現地指導を行った。この肥料はわらや鶏糞、もみ殻、米ぬかなど、農村ならどこにでもある材料を利用するだけで、作物の収量を大幅にアップすることができるものだ。

 

 午後一時、現場の畑に到着した松沼さんは、早速作業に取り掛かった。穴を掘ってわらを敷いて、その上に米ぬかをふりよく混ぜて、そしてぼかしを入れて水をかけ、さらに土をかぶせ、最後にクン炭で覆うという一連の作業を、自ら丁寧に手本を示しながら指導を行った。こうすると廃棄物の地中での発酵が進んで、放出される熱エネルギーが積み敷かれたわらとそれを覆う土の層に蓄積されるため、畑の地中温度はまんべんなく一定に保たれ、作物の成長に必要な熱を長期間維持できるのだ。一見どれも単純な作業だが、一つひとつの手順には意味があり、奥の深い技術が秘められていたのだった。

 

このように肥料を施された畑は、収量が大幅にアップするだけでなく、地力も大きく高まるため、その後3年間は保肥力が衰えないとのこと。通常、キュウリは1ムーあたりの収量が3〜4トン、しかも気候条件により収穫は年1回が限度だ。しかし、この方法なら二期作も可能で、それに一期あたり13トンの収量が見込める。つまり年間で4倍の増収が実現できるという。

 

 キュウリ農家以外の参加者もこの方法に興味津々で、「他の作物にも使えるか」との問いに、松沼さんは「もちろん!」と太鼓判を押した。

 

 現代のニーズにもマッチし、コストもかからない松沼さんのこの昔ながらの土作りに、参加者達は皆感心することしきり。さっそく実践したいという声が多数あがった。わらの処理にはどこでも頭を悩ませており、このような活用方法があるなら、今までのように焼却する手間も省けるし、今後は逆に需要が出てくるかもしれないと期待している。

 

(京江晩報 2010年1月29日