2021年9月号

キレッキレ　農家の刃物　選ぶ・研ぐ

埼玉県北本市・内田泰宏さん

ブロッコリーの枝（葉柄）を切る内田さん。畑20ha以上、従業員10人ほどで、年間100種類もの野菜をつくる。産直の開拓が評価され、2020年に埼玉農業大賞を受賞（写真はすべて田中康弘撮影）

収穫包丁は身体の一部

「刃物には、興味がなかったんですよ」

　じつをいうと、内田泰宏さん（55歳）は若かりし頃、キャベツとレタスの市場出荷に専念していたので、収穫包丁も1種類で間に合わせていた。それが、今から28年ほど前、自ら販路を探し、量販店などと直接つながるようになると、栽培品目が徐々に増加。刃物にも、さまざまなタイプがあることを知り、野菜ごとに使い分けるようになったという。

(株)サボテン・石田昌宏さん

株式会社サボテン（兵庫県三木市）の石田社長。各地の農家を訪ねて集めた意見をもとにハサミやノコギリなどの商品開発に取り組む（写真はすべて黒澤義教撮影）

　近頃は、安価なせん定バサミや替え刃式のものが増えてきた。農繁期は忙しいからと、手入れしないで買い替える農家もけっこういるようだ。園芸用品メーカー「サボテン」の社長、石田昌宏さんも「刃物を研いで長く使う、という文化がなくなってきてるのは事実です」と話す。

イネ刈り、自由自在

福島県北塩原村・佐藤次幸さん

対照区の枕地を刈るサトちゃん（写真はすべて依田賢吾撮影）

ベッタリ一発肥料イネ、倒れなかったへの字イネ

耕作くん　うわぁー、写真のサトちゃん、大変な田んぼを刈ってるね。ここ、去年の対照区の圃場でしょ。

サトちゃん　ピンポーン。覚悟はしていたけど、その予想をみごとに上回ってきた。なびいた程度じゃなくて、全面が挫折型の倒伏だなんて……いや、まいったね。

乾燥・調製作業を効率化！

新潟県弥彦村・石井晃さん、知治さん

晃さん（左）と知治さん。息の合った石井親子（写真はすべて依田賢吾撮影）

　新潟県弥彦村でイネ約8ha、ネギなどの野菜を育てる石井晃さん、知治さん親子が、すこぶる重宝している作業場の工夫がある。2階の保管庫からの「モミガラ落下システム」だ。

愛知・天野　亘

テント張りマルチをしたイチジク。9月30日、収穫終了直後のようす（赤松富仁撮影、以下断りのない限りすべて）

登校前にイチジクの手伝い

　私は1973年に愛知県碧南市のイチジク農家の次男として生まれました。小学生の頃から畑の手伝いが日課で、朝は収穫した果実を荷台に載せ、トラクタで牽引して作業場まで運んでから登校していました。愛知県立農業大学校に進学し、卒業後は地元の企業で3年間営業職として働きました。98年に結婚し、妻の実家の愛知県田原市でビニールハウス2棟20ａからイチジク栽培を始めました。

１０月号の主な記事（予告）９月５日発売、編集後記

あっちの話こっちの話（406KB）
・コンバインのクローラの後ろ端、もうぶつけない――滋賀から
・株元を残してネギの周年連続栽培――島根から
・風船パンッでブドウのハクビシン除け――石川から
・キュウリの端っこで、大人気のキュウリジャム――兵庫から
・卵の薄皮が人工皮膚に!?――栃木から

農文協出版案内（453KB）
・農文協の新刊

・○×写真でわかる　おいしい野菜の生育と診断 （→購入する）
・農家が教える　タネ採り･タネ交換 （→購入する）
・農家が教える　ゆずづくし　スイーツ・加工と保存・庭先栽培 （→購入する）
・最新農業技術　果樹　Vol.14 （→購入する）
・日本農業の動き211　コロナ後のローカル経済 （→購入する）

・2021年3月号 （→購入する）
・2021年4月号 （→購入する）
・2021年5月号 （→購入する）
・2021年6月号 （→購入する）
・2021年7月号 （→購入する）
・2021年8月号 （→購入する）

◆9月号のすべての目次はこちら

水やりなし、半年でできる　鉢植えブドウ　（長野・箱山金雄さん）

絵のページ

あっちの話こっちの話／クロスワード・パズル／漬け物お国めぐり／ドブロク宣言／違うのはどこ？／食と農の記念日ごよみ

◆収穫をラクに

刃物大好き一家の推し包丁　（埼玉・内田泰宏さん）

収穫にこれ使ってます

　ハサミ　

ハーブをザクザク収穫　片手用刈り込みバサミ　伊藤雄大

持ったまま手を開けるハサミ　小笠原亮

　鎌　

ユリを立ったまま収穫できる鎌　岡田明夫

のらぼう菜のわき芽収穫に「四万十鎌」　沖田和雄

　爪　　自作のオクラ収穫爪でナバナも　中田和也

　包丁　　キャベツがさっくり切れる押し切り包丁　中川一郎

ホウレンソウの手押し刈り取り器　タキゲン製造(株)

ストレスなし　調製専用の刃物

選別もできるホウレンソウの根切り器　（岡山・成広正孝さん）

切断も土落としも　サトイモのしゃもじ型包丁　土田重兵衛

ブロッコリーの調製用押し切り器　（岐阜・ＪＡにしみの）

カボチャの軸切りにスプーン型バサミ　(株)諏訪田製作所

台湾製マコモタケの皮むき専用鎌

ダイコンの葉切りが一気にできる柄長包丁　古川明

◆せん定を快適に

老舗農具店に聞いてみた　せん定バサミの選び方　（山梨・三森商店）

せん定にこれ使ってます

津軽型と回転グリップのハサミ　栗原拓也

チェンソーも、高枝・せん定バサミも電動で　林雅広

農協のプライベートブランドになった愛用ノコギリ　林金吾

これなら畑でなくさない

チェンソー　巨大なカラビナで枝から吊る　加藤誠三

せん定ノコギリ　ネオジム磁石で腰元にピタリ　栗原拓也

◆手入れのカンドコロ

スパッスパで長持ち　菜切り包丁3種の研ぎ方　塚原雄二

意外と簡単　せん定バサミの手入れ　（(株)サボテン・石田昌宏さん）

イネ刈り、自由自在

【サトちゃんのへの字稲作6】への字は刈るのもラクだった　（福島・佐藤次幸さん）

1、3、2刈りは本当にすごかった　林浩陽

中道流じっくり乾燥術　前編　中道唯幸

乾燥・調製作業を効率化

乾燥機からの排出にジャバラのホース　（富山・伊東悠太郎さん）

モミガラ袋8連吊り下げ器　（徳島・金佐貞行さん）

フレコンバッグ用玄米張り込み機　（岩手・松平知孝さん）

2階保管庫のモミガラを、一瞬で袋詰め　（新潟・石井晃さん、知治さん）

来年の草をグッと減らす田んぼの刈り跡除草

多年生雑草対策に、秋のグリホサート剤　（千葉・鳥海榮之さん）

鳥海さん　うちも草が減りました　児島晴夫

土壌処理剤のスポット散布で　中山修一

乾田直播のヒエが3分の1　岡田吉司

【ネギ農家、イネをつくる7】イネ刈り　小城寿子

【イネってこんな植物13】強いモミと弱いモミ　新田洋司

ことば解説

業務用ブロッコリーがねらい目

大型ブロッコリー栽培に乗り出した　仁木光俊

今、なぜブロッコリーか　髙橋徳

夏播きニンジン　黒マルチ太陽熱処理で発芽バッチリ　五月女知弘

【40ｔどりキュウリ9】研修生たちよ、高い目標を　山口仁司

【アスパラを見る9】クエン酸で肥料が効く　中尾太輔

【カメラ訪問記275】20m²で育てるマイクロ野菜

【仕立てで化ける花5】細茎カーネーション　森健人

【有機農業コツのコツ6】有機栽培におすすめの品種　林重孝

【常識のなかの非常識43】微生物増殖法　白木己歳

ことば解説

【新連載　儲かるイチジク 45段どり】
テント張りマルチで細根がびっしり　天野亘

ミカン収穫　運ぶをラクに

運搬効率アップで、1人1日コンテナ40杯収穫　清田正明

倉庫で活躍　キャスター・ミニリフト・天井クレーン　山口勝

【ブドウ新短梢栽培2】主枝はどこまで切り戻す？　丸山三恵子

【ブドウの樹相診断5】落葉期の葉、熟枝、秋根　岡本五郎

【リンゴの気持ち6】せん定によるオーキシンと枝の反応　黒田恭正

ことば解説

ミツバチのヘギイタダニ対策　温熱療法Ｑ＆Ａ（上）　東繁彦

【庭先西洋ミツバチ7】スズメバチ対策、ハチミツの販売　岩波金太郎

【まさねぇの獣害対策7】獣害対策はガイチュウ対策　井上雅央

十頭十色、牛ごとの発情の見極め方　（宮城・菅原邦彦さん）

知っているようで知らないルーメンの世界（上）　小原嘉昭

流産の原因はネオスポラだった！　大渕一

氷酢酸、木酢酸、イソジンでイボが取れるメカニズム　瀬戸隆弘

【草刈り動物12】豚（1）　髙山耕二

【ヒモトレ健康術9】下半身を強くするエクササイズ　小関勲

秋の花々ビックリ活用術

痛みが消えるキク枕、元気が湧き出るケイトウのスープ　平出サトコ

キクの花びら油漬けは切り傷の特効薬　佐藤直樹

蝶豆の花で作る紫色のアンチャン酢　神崎ソラダー

キクとキンモクセイをおやつで楽しむレシピ　猪飼牧子

【あれもこれも薬草21】メナモミ　松原徹郎

【農産加工レベルアップ道場8】ドレッシング　その1

【鉢植えアボカド3】植え付け　谷口恵世

【北の国から、幸せ自給生活5】冷蔵庫を使わない暮らし　三栗祐己

【農家、自著を語る7】合鴨ドリーム　古野隆雄

【ルーラル電子図書館7】勉強嫌いの私が学べるようになった　山田浩史

21年産　米余り問題　東日本の産地動向を探る

【農文協80年史こぼればなし8】ゼロからの出発と試練　楠本雅弘

【意見異見153】47都道府県に有機農学校を　魚住道郎

【主張】　日本の家庭料理の「地域づくり力」で、わがむらの「みどり戦略」をもっと豊かに
『伝え継ぐ 日本の家庭料理』完結によせて

【農家の法律相談】　街灯が設置されて田んぼが光害に　馬奈木昭雄

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