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私たちの金融大転換 新しいおカネの生かし方ガイド |
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現代農業2009年5月増刊 | ||
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●「価格破壊」「就職氷河期」という言葉が初めて世に登場したのは一九九四年のことだった。思えばそのころから「食と労働のダンピング」による過度の輸出依存経済が始まっていたのだろう。しかし、中国の古典『易経』に「窮すれば即ち変じ、変じれば即ち通ず」とあるように、いずれも95年の食管廃止、WTO発足、MA米輸入開始による農産物価格の下落に直面した農村女性・高齢者は、産直、朝市、直売所、グリーンツーリズム、定年帰農など「暮らしの農業」を展開することで対抗してきた。同じく95年の日経連「新時代の日本的経営」で「雇用の流動化」に直面した若者たちは、既存の進路の選択ではなく、集落NPOなど「暮らしと仕事を近づける」新しい進路を創造することで対抗してきた。そして今、農村の90年代生活革命と若者の90年代進路創造の結合に、都市の若者たちがNPOバンクなどを通じ「意志のある温かいお金」を提供している。まさに「変じれば通ず」。そこには「持続可能な小さな地域」(45頁)の創造を感じることができる。(甲斐良治) ●「きてら」は和歌山県田辺市の直売所(九九頁)。夜の会議の取材の帰り、地元の居酒屋で役員さんに昔のお話をお聞きしながらお酒を飲んだ。「一人3000円」。おカネを払おうとしたら、「いいよ。そのかわり『きてら』でみかん、たくさん買って」といわれた。 ●生きものブランド米の全国アンケート調査(167頁)を実施。生物の多様性と農家の多様な個性が響き合い、そこにしかない景観と暮らしをつくり出す。たくさんのご回答から、そんな農業のおもしろさを再確認できた。よくわからないまま始めた結婚式の引出物カタログ調べ(198頁)では、実際に2759の商品を数えることで、中国製の多さに圧倒された。手足を動かして一次情報にあたることの大切さを痛感した。ふるさと納税(126頁)も、最初は浅薄な理解しかなかった。寄付に託された思いと、それに真剣に応えようとする自治体に接触して、そのおもしろさを思い知らされた。とくに福井県池田町のまちづくり自治制度には学ばされた。経済も制度も人間がつくったものである以上、よりよいものに変えていけるはず。小さな一歩こそ大切と肝に銘じたい。(馬場裕一) |
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