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「限界集落」なんて呼ばせない 集落支援ハンドブック

現代農業2008年11月増刊

【編集後記】

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●「先祖が切り開いた畑を今度は自分たちの手で山に還す。終わりに向かって歩きながらも、自分が生きてきた土地に感謝し、いなくなることの準備をする。そこに悲しみは感じられず、時の流れと自然の営みに逆らわない、しなやかな生き方が見えました」(152頁)――NHK番組「秩父山中 花のあとさき」に寄せられたこの思いは、群馬県片品村の桐山三智子さん(14頁)、かみえちご山里ファン倶楽部の三浦絵里さん(132頁)のように、この10年ほどの間に農山村に向かった多くの若者に共通する思いではないだろうか。支え、支えられ、むらを生きてきた若者の豊かな感受性とたくましい成長ぶりには頭が下がる。

 一方で、やはりこの10年ほどの間、猛威をふるってきた新自由主義、グローバリズムはその自己破綻によってようやくかげりが見えてきた。このたびの「集落支援員」設立も、その軌道修正のあらわれと見たい。ぜひこの仕組みを、むらの未来、若者の未来のために役立てていきたい(甲斐良治)

●知り合いのA先生が勤めている小学校が来春、明治以来の長い歴史を閉じる。全校児童わずかに5名の学校だが、全校音楽やふるさと学習など、小規模校の持ち味を生かした教育に熱心に取り組んできた。いまA先生は、この小学校を「地域の生活文化と自然体験の拠点」として残そうと、地域の人と話し合いを重ねている。

 そんなA先生は「廃校」という言葉を使いたくないという。学校もむらも、それを思う人がいるかぎり、時代によって、小さくなったり大きくなったりしながら、姿を変えて生き続けていくのではないか。山村に通い続ける歴史学者白水智さんの秋山郷の変化の話(158頁)をうかがうと、長い歴史のなかでは「廃校」も「廃村」もないのではないか、と思えてくる。

本号から担当に加わります。どうぞよろしくお願いします(阿部道彦)

●はじめまして。この号から増刊現代農業の編集に加わりました。まだまだ修業中の身ですが、読者のみなさんに楽しんでいただけるように、がんばります。

 今回、図解「楽しくできる集落点検のすすめ方」(86頁)のため、山口県で農村女性が主導する集落点検を取材してきました。そこで、あらためて感じたのは、地方の力、地域の力です。

 これまで、なにごとも東京中心、もっと言えば、アメリカ中心と言われてきましたが、最近ではそういう社会の限界ばかり目につくようになってきました。

 「限界集落」という言葉がありますが、「限界」というのは、むしろ近代国家や市場主義にこそ、ふさわしいのではないでしょうか。自分たちの未来は自分たちで切り拓く。集落点検の手法に明るい未来を感じます(馬場裕一)  

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 「限界集落」なんて呼ばせない 集落支援ハンドブック

「集落の点検活動を行ない、現状と未来についての話し合いをコーディネートし、維持活性化をサポートする集落支援員制度」(総務省決定)の徹底活用ガイド。行政・農業委員・普及員OB、地域づくりNPO、都市から移り住んだ若者の仕事づくりにもおおいに役立つ。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

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