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小さなむらの「希望」を旅する

現代農業2005年2月増刊

【編集後記】

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「ご無沙汰しております。弊社も昨年の12月に創立2周年を迎えることができました。少しずつですが、山づくりに向けた動きに幅が出てきております」――そう書き添えられた年賀状を送っていただいたのは、(有)フレスコのみなさん。同社は、2002年の本誌『青年帰農』で紹介した「山仕事」と「むらづくり」を仕事とする、愛媛大学、同大学院の卒業生がつくった会社。『現代林業』昨年12月号の「地域とともに新たな森林管理のカタチを求めて」という記事でも近況が紹介されており、現地設営式大型炭化装置の販売が収益の柱となっていること、また、設立当初の4名に加え、昨年4月、社長の兄が新たなメンバーとなったと報告されていて、とても嬉しく読んだところだった。

 一方、昨年12月18日の東京新聞「特報」によると、京都の某私立大学の進路センターには、就職率アップのため、「あなたはドッチ? 就職派2億9000万円 フリーター派8200万円」というパネルとともに、大小二つの札束の山が積まれているという。大きい束が正社員の生涯賃金、小さい束がフリーター派で、就職派のお札には笑顔の、フリーター派のお札にはがっくりした表情の学長の肖像画が描かれている。そして、この「現実」を見せられて、「夢は捨てなきゃ」と、志望を変更した学生数名の声も紹介されていた。フリーターやニートと呼ばれる若者の増加が問題視されている。だが就職しても3年以内に離職する大卒正社員が35%にも上る時代、たとえ志望を変更して正社員になったとしても、そこにあるのは希望ではなく失望ではないか。

 元日の朝日新聞は、「田舎から世界が見える」として、500人に満たなかった住民が、都会からの若者の移住によって2000人に増えたフランス・ラルザック地方の活況と、その指導者ジョゼ・ボベ氏のインタビューを伝えていた。同氏は言う。「都会は衰退が著しい。60年代まで社会運動を担った大学が、単なる就職準備の機関になりさがり、批判的精神を失ってしまった」と。

「希望」はいま、小さなむらにこそある。(甲斐良治)

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