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01 北海道・東北1(北海道、アイヌ、青森、岩手、秋田)
東北2(宮城、山形、福島)
03 北関東(茨城、栃木、群馬)
04 首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)
05 甲信越(新潟、山梨、長野)
06 北陸(富山、石川、福井)
07 東海(岐阜、静岡、愛知、三重)
08 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
09 中国(鳥取、島根、岡山、広島、山口)
10 四国(徳島、香川、愛媛、高知)
11 九州1(福岡、佐賀、長崎、熊本)
12 九州2・沖縄(大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
 
日本の食生活全集



 

 食をめぐる暮らしの情景を再現
 地場の旬のものを生かす知恵。
 県内の他地域や隣県と比べてわかるふるさとの個性。
 懐かしく、これからに活かしたい原風景。

 この本は郷土料理の写真集ではありません。自分で耕し、自分で食事を作り出していた全国のおばあさん、おじいさんたちの暮らしを「食」を通じて思い出す写真館です。
  • 一つの県を5〜7の特徴ある地域に分け、昭和初期に台所に立っていた古老5000人を全国に訪ねて当時の食生活を聞き書き。当時の食事や保存食づくり、農作業や季節の行事を再現してもらいました。
        
  • 地域の自然を生かした食生活は、それぞれに個性的でどれもが「この味こそがいちばん」の味。ふるさとのおいしさを受け継いでいくための最適の入門書! 近隣の県と較べることで、意外な違いや共通性が浮き彫りに。
     
  • 各県の自然と風土、産業と歴史など、それぞれの個性を作り出してきた食の背景も詳しく解説。
     
  • 長部日出雄(青森)、浜美枝(神奈川)、辰巳芳子(石川)、田原総一朗(滋賀)、津本陽(和歌山)、司葉子(鳥取)、はらたいら(高知)、森崎和江(福岡)ら各県にゆかりの深い著名人による、ふるさとの食事に寄せる思いも収録。

※本書は「日本の食生活全集」全50巻の口絵・本文・月報などの一部を再編成したダイジェスト版です。日本人の食文化の原点を網羅した聞き書きの全容をお読みになりたい方には「日本の食生活全集」と併せてのご利用をおすすめします。


発刊にあたって
 
 『伝承写真館 日本の食文化』をお届けします。
 このシリーズは都道府県ごとに各地域を山間・平野・海辺等に分け、そこでの昭和初期の人びとの朝・昼・晩、ハレの日・ケの日の食事と暮らしを再現したものです。大都市のある都道府県では、都市部の食と暮らしも取り上げました。

 まず再現した食事のカラー写真を置き、そのような「食とその背景」をその地の専門家に解説していただき、さらに、当時の暮らしが地域の自然と強く結びついていたことを「屋敷まわりの図」(○○地域の農林漁業と食べもの)によってモデル的に示しました。また、その地で育ち、地域文化のすみずみまでよくご存知の方にエッセイを執筆していただきました。写真はすべて、そのころ台所仕事を引き受けていたおばあさん、ときにはおじいさんから、何度もお話を伺い、実際にその料理をつくっていただいて撮影したものです。

 本シリーズは地方ブロックごとに一巻としています。近隣の県と並べて一覧することで地域の個性の違いや関連が興味深く現われてくるでしょう。地域の自然に支えられて成り立った食事、暮らしの核となっていた食事が、新しい食生活を生み出す手掛かりとなるに違いありません。

 今を去る4半世紀前、私たちは各地の古老たちからの聞き書に精力的に取り組んで、10余年の歳月をかけ『日本の食生活全集』全50巻を完成させました。「いまやっておかなければ永久に失われてしまう」という思いで行なった仕事です。昭和初期の各地の食事は、江戸時代から引き継がれ、戦中戦後の飢えの時代を除けば、昭和30年ごろまで続いてきたといわれます。食の歪みが叫ばれる今日、地域と自然に根ざした食文化を再興するよすががここにあるといえるでしょう。

 今回のこのシリーズは『日本の食生活全集』の聞き書の部分を除いて再編成したものです。一つ一つの料理の、素材の育て方や採取法、調理のしかた、さらには地域の自然に根ざした暮らしの全貌などの詳細は、古老の語りを記録した『日本の食生活全集』をご覧ください(CD版もあります)。

 2005年7月、食育基本法が施行されました。それに基づいた国の「食育推進基本計画」では「地域の伝統的な食材や食文化をはじめ地域と風土に根ざした食文化の形成と特性等…我が国の食文化の継承・発展の基盤となるべき調査研究」を促進する――とされています。私たちが手掛けた仕事に誇りをもって、本シリーズを刊行いたします。

2006年7月 社団法人 農山漁村文化協会