「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2009年5月号
 

食農教育 No.68 2009年5月号より

ミツル・カメリアーノ。1950年兵庫県生まれ、金沢在住。本名・椿野充。京都市立芸術大学卒業後、大阪のデザイン業界で働く。その後、画家になることを勝手に宣言。野菜を並べて描いた「八百屋シリーズ」や、道ばたの草花や樹木などの作品を描く
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新連載

エゴコロひらく! おえかき教室

その1 色えんぴつでタケノコを描く


受講生の作品(50代女性)

 友人と絵本をつくったことがきっかけで、ミツル・カメリアーノという作家名で自称色鉛筆画家となりました。あるとき、家庭菜園でとれたひげ根つきの元気なタマネギをいただき、台所で描いてみました。色を重ね塗りし、そのタマネギの色をなんとかだそうとするうち、時間を忘れて熱中していました。

 「野菜は食べるもの」と思っていましたが、描いてみるとおもしろいし、飾っても美しいんだなあ、と気づいた瞬間です。

 そんな私も、小学校などで子どもたちとワークショップをするようになりました。五色の角がついたフェルトの帽子とカラフルなエプロンをつけて登場。「色のカミサマが天から降りてきて、みんなが上手に絵をかけるようになるんだ!」と笑わせながら自己紹介し、絵本を読んだり作品をみせたりして、おえかきモードに入ります。

 描くことが楽しくなるよう、あれこれ準備します。たとえば、遊びのルールをつくるように、ときには制限枠を設ける。細長い紙に描くとか、三色しか使ってはいけないとか。ズルをして、紙の上に野菜を載せて、型どりをしてから描いてみるなども。運動場に白線で枠を引いて「その中からでてはいけない」というような「シバリ」をつくると、逆に自由になりたくて遊びがおもしろくなる。それと同じかもしれません。

 ではみなさんも、カメリアーノのおえかき教室にご招待しましょう。

 まずは、色が生まれる不思議体験。黄色、赤、青の三原色から、オレンジ、紫、緑が生まれて六原色となり、さらにその中間色が……。画材は水彩色えんぴつの三六色セット(クーピーでもOK)。

 絵を描く前にカッターナイフで色えんぴつを削って──。


いろえんぴつ の じゅんび たいそう

いろえんぴつ の
じゅんび たいそう
はじめ は きいろ

つぎ は あか

そして あお
みっつ の いろ

きいろ と あか の
あいだ に うまれた
オレンジ いろ

あか と あおの
あいだ は
むらさき

あお に きいろが
ふりそそぎ
みどり が できた

いろ の せかいの
できあがり

どんどん いろ を
かさねる と
ちゃいろ に なる

*絵本『ありがとう』より


画用紙のザラザラしたほうに、黄色でゆっくり、筆圧を強めに、らせんと三角を描く。ほかの色を塗り込んだあとも、この黄色の線が最後までかすかに残る。葉脈やタケノコのスジなどの表現に役立つ
黄色、赤、青の三原色を三角形の中心まで塗っていくと、中程で色が重なりあって、混色の感覚を体験
色えんぴつセットから、混色でできたオレンジ、紫、緑をみつけ、逆三角形を描いて、それらの色を真ん中まで塗る。交差する直線やグルグル塗りなど、いろんなタッチを試してみるとおもしろい
六原色のまたその間の色をみつけて、三角の頂点を追加。紫と赤の間は赤紫など、時間の許す限りどんどん細かくしていく。色数が不足したら重ねて混ぜる
すべての色相が混じりあう中心部は理論的には黒だが、実際にはにごった茶色系になるはず。外側の純色は鮮やかで彩度が高く、内側ほど鈍く明度も低い色。色彩学的に説明するよりもこれで体感できる。なにより、この作業に熱中する人を多くみてきました
色えんぴつセットから、混色でできたオレンジ、紫、緑をみつけ、逆三角形を描いて、それらの色を真ん中まで塗る。交差する直線やグルグル塗りなど、いろんなタッチを試してみるとおもしろい
 

 つづき(光と陰の色鉛筆マジック、タケノコを描こう)は、本誌(『食農教育』2009年5月号)を参照ください。

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