「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2006年9月号
 

食農教育 No.50 2006年9月号より

■飯炊きのポイント 火加減を学ぶ

羽釜で飯炊きに挑戦!

Mr.ライスマンが解説 お米がごはんになる不思議

編集部

「はじめチョロチョロ、なかパッパ」の次は?

 我孫子第二小のみなさん、こんにちはー。私は、昭和四十八年からごはん一筋でやってきました。Mr.ライスマンと呼んでください! 今日は、究極の飯炊き道具、羽釜を使って、いっしょにごはんを炊きましょう。

 今日、みんなに勉強してもらいたいことは、「火加減」についてです。この言葉をみなさんは知っていますか?「はじめチョロチョロ、なかパッパ……」。その次になんて言うか知ってますか?

「はい、『赤子泣いてもフタとるな!』です」。

 そうだねー、よく知ってるねー。でも、じつはその前にもう一つあるんです。ひょっとしたら、お父さん、お母さんも知らないんじゃないかな? ぼくらの子どものころは、こう教えられました。

はじめチョロチョロ、なかパッパ、ブツブツいうころ火を引いて、赤子泣いてもフタとるな。

 これから体験してみたら、よーくわかると思います。羽釜で飯炊きをするときに一番大事なのは、ごはんがブツブツいうのを感じて火を引くタイミングなんです。
 じゃあさっそく、炊き方の手順を説明しましょうか。

ごはんがブツブツいうのを感じてみよう

 まず、はじめチョロチョロとは、水の温度がじょじょに上がっていくことです。火加減はチョロチョロじゃダメで、どんどん焚いていきましょう。一〇分〜一二分すると釜の脇から水蒸気がでてきて、もう二〜三分後には、釜ブタから湯気が吹きこぼれてきます。なかパッパの状態だね。釜のなかでは、お米がグラグラと踊っていて、どんどん水を吸っているんだよ。

 さて、炊きだしてから一六分後くらいになると、水がなくなるよ。そのまま火を燃やし続けると、焦げてしまいます。釜ブタに鼻と耳を近づけて、ごはんがブツブツいうのを感じてください。「あー、もう火はいらないんだなー」とわかったら、炭になっているものだけを残して、薪を引いてあげましょう。これが、「ブツブツいうころ火を引いて」の作業。

 そのまま、おき火で一五分ほどしたら、最後に一握りのワラをくべて燃やしてあげましょう。ごはんのまわりをおおっている汁気がとびます。そしたらもう一度、じっとがまん。「赤子泣いてもフタとるな」だね。二〇分後にフタをとって、おひつに移してほぐしてあげましょう。

お米一粒に一七万室のお部屋

 ところで、お米を炊くって、どういうことでしょう? 蜂の巣を思い浮かべてください。一粒のお米に、細胞室っていう小さなお部屋が約一七万室もあるんです。その一部屋ずつに、二〇〇粒のデンプンが入っています。そのお部屋に水をためていくことが「炊飯」なんです。水分は米粒の状態で一四・五%。これを六五%へと、いかに近づけるかが、飯炊きの技術。そうすると、細胞室の中の生デンプンが糊状になって(α化)、胃で消化しやすくなるんです。水がたまるとお米は二・五倍にふくらむよ。
 さあ、これから挑戦するのは、究極のごはんの炊き方。「はじめチョロチョロ……」は飯炊き一〇年以上のプロが表現した言葉。だから、みんなは失敗してもいいんだよ。とっても貴重な体験だから、楽しみながらやりましょう。

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