「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2004年7月号
 

食農教育 No.35 2004年7月号より
[特集]川と遊ぶ 暮らしを学ぶ

「総合的な学習CD―ROM2004」を使って
ダイズからきな粉・粉食の授業の構想を立てる

「子ども版」の「それいけフィールドワーク」のトップ画面
▲「子ども版」の「それいけフィールドワーク」のトップ画面

 中尾さんの記事で、「粉」に注目する学習のヒントをいただいた。しかし、これから実際の授業の計画を立てようとすると教材研究でけっこう骨が折れる。

 そんなとき、便利なソフトが「総合的な学習CD―ROM2004」である。

 このCDには子どもの調べ学習に使える「子ども版」と教材研究用の「教師版」が入っている。1枚で2役。これを使って、ダイズを育てて、きな粉をつくり、粉に広げていく授業を構想してみよう。

 オープニング画面は「子ども版」。

 ダイズの栽培に先立って、育てたり、観察するときのポイントを子どもといっしょに調べてみる。

■「それいけフィールドワーク」で栽培と観察のポイントを

 「それいけフィールドワーク」の「作物を観る」から「エダマメ(ダイズ)の葉のふしぎ」をクリックする。ダイズの葉が大きな葉1枚と小さい葉2枚の3枚1組になっていること。葉の温度が上昇しすぎないように、天気のよい日の昼間は葉を立て気味にし、朝夕や曇りの日には空に向かって展開するように運動することがわかる。ここには、カラスに豆を食べられないために豆を播いたあとは掌でしっかり土をおさえること、枯れ草などで覆っておくとよいことも書かれている。

■「農家のワンポイントアドバイス」を使って取材する

 ハトやカラスの害を防ぐ方法は農家にも相談してみたい。オープニング画面に戻って「農家のワンポイントアドバイス」をクリックし、「鳥獣害を防ぐあの手、この手」を読むと、「豆腐のパックをマルチの代わりに豆の上にかぶせる」など、おもしろいアイデアがいくつも出てきた。「ダイズの先生」になっていただく地域の農家の人に話せば、きっと感心してくれるだろう。ほかに工夫がないか、聞いてみよう。

■ダイズでウエッビング

 ダイズから学習はどのように広がっていくだろうか。「教師版」を開いて「ウエッビングマップ」の「ダイズ」をクリックしてみる。

 ダイズは豆もやし、枝豆、きな粉、豆腐と生育ステージごとに姿を変えて食べものになるおもしろさがある。納豆などのダイズ発酵食品は広くアジアに分布している。インドネシアの納豆・テンペなどをつくってみながら、国際理解につなぐのもおもしろい。

 おからから廃棄物、遺伝子組換え食品、輸入ダイズと食用油など、環境問題や食糧問題への広がりもある。ウエッビングマップの該当する用語をクリックすると関連記事が読めるので、概観しておこう。

■ダイズからきな粉へ

 「教師版」のトップ画面に戻って、「学年別おすすめ植物」の「ダイズ」をクリックすると、育て方と観察・実験、加工法などの記事が一覧できる。ミキサーを使った簡単なきな粉のつくり方もある。図解記事なのでワークシートとしても使える。豆腐や湯葉、テンペのつくり方もここに出ている。

 このCDにはインターネット上でフリーワード検索ができる機能がついている。さらに特典として「ルーラル電子図書館」の無料閲覧サービスもついている(2005年3月末までの期間限定。2000頁まで)。「ルーラル電子図書館」にはこのCDに収録したデータはもちろん、「日本の食生活全集データベース」(全国47都道府県・300地域の、昭和初期の日本の食と暮らしのデータベース。15000枚のカラー画像を収録)や「農業技術データベース」(穀物・野菜や家畜の来歴や栽培・飼育法を網羅した農業技術の集大成)など、膨大なデータが入っているので、さらに詳しく調べることができる。

■「日本の食生活全集データベース」から粉の世界へ

 この「日本の食生活全集データベース」をつかって、郷土食における粉食について調べてみよう。

 くず穀物が活用でき、保存がきく粉食は、かつては重要な基本食だった。「日本の食生活全集データベース」の「写真で見る郷土食」から「だんご・まんじゅう類」を見ると各県から390種類もの料理の写真とレシピを読むことができる。

 岐阜県の美濃地方の「みょうがぼち」はそらまめをつぶしてつくったあんを、小麦粉と米粉の皮でくるみ、みょうがの葉で包んだ夏のおやつである。このような地域独特の粉食が残っていないか、地域のお年寄りから聞き取りをしてみたい。

■調査票をプリントアウトする

 聞き取り調査をするときは子ども版「それいけフィールドワーク」の「地域の食を調べよう」にワークシートがあるので活用しよう。これは「日本の食生活全集」の執筆に際して作成した調査票を学校向けに簡略化したものである。

 

 

 

 

 

「総合的な学習CD−ROM2004」のコンテンツ

■総合的学習から自由研究まで豊富な実践事例
・総合的な学習の時間の総合誌「食農教育」
 31号分、4960頁、約1240事例
・生活科を中心に子どもと自然を結ぶ
「自然教育活動」43号分、2752頁、約500事例
・「現代農業増刊・食べもの教育応援団」
「現代農業増刊・引き継ぐ教育」544頁、62事例
・「食文化活動」28〜36号「農村文化運動」4冊
640頁、約120事例
・「現代農業」自由研究特集、田んぼの学校特集、
村おこしと学校特集、空き教室活用特集 33事例
■栽培・加工・観察実験のヒントがいっぱい
・単行本 ふるさとを感じるあそび事典 366頁
・単行本 いのちを感じるあそび事典 286頁
・単行本 かがくを感じるあそび事典 88頁
・単行本 からだを感じるあそび事典 270頁
・単行本 親子でわくわく自然観察事典 250頁
・単行本 おもしろふしぎ食べもの加工 160頁
・単行本 家庭でできるこだわり食品 @〜D904頁
・単行本 学校園の栽培便利帳 214頁
・単行本 学校園の観察実験便利帳 202頁
・「現代農業」連載「野菜を観る育てる」 27回54頁 他
■育て方飼い方の基本技術と用語を解説
・農学基礎セミナーシリーズより 計3165頁
■農業高校のプロジェクト学習、課題研究に学ぶ
・「農業教育」 67号分 概算4300頁、約510事例
■地域の農家の知恵を借りる
・「現代農業」 特別号512頁、791事例
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