Ruralnet・農文協>食農教育>2004年1月号> | ||||||||||||||||||||||
きょ年の夏休みは、毎日4時おきでナスを出荷
わたしはおばあちゃんの農業を手伝っています。きょ年の夏休みには、40日間、市場の休みの日以外は、雨の日も朝4時に起きておじいちゃんとおばあちゃんと畑にいきました。ナスをしゅうかくして、箱につめて近くの市場にだすのです。市場にもいっしょにいきました。 わたしの家は、パパが会社をやっているので、ママも手伝っています。わたしは小さいときから、歩いて5分くらいのおばあちゃんの家にしょっちゅういっています。おばあちゃんの家が自分の家みたいです。おばあちゃんとおじいちゃんは農業をしているので、わたしもあとにくっついて畑や田んぼであそんできました。 二年くらい前から農業をよく手伝うようになりました。ふつうの日は学校があるから、手伝うのは夏休みとか長い休みと土曜と日曜。畑や田んぼにいるのは好きだし、苗を植えたり、ナスやインゲン豆をとったり、ハカリではかったりするのが面白いからです。食べるのも野菜は何でも好き。 おし合いへし合い、15分で売切れごめん
きょ年の夏から、近くの農業会館で朝市がはじまりました。毎週土曜日に、農協婦人部のおばさんたちが自分でつくった野菜やおもちなどをもってきて売るのです。買うのは近所のおばさん、おばあちゃん、おじさんたち。遠くから30分もかけて車でやってくる人もいます。 もちろん、わたしとおばあちゃんも野菜を売ることにしました。金曜日の夜はおばあちゃんの家にとまり、8時にはねます。朝五時ごろおきて、おじいちゃん、おばあちゃん、わたしの三人で車で10分くらいの畑にいきます。ちょうど食べごろのホウレンソウとかインゲンマメをしゅうかくして、洗って、はかってふくろにつめたりたばにしたり。はかるのとふくろにつめるのは、はやいのでわたしのしごと。しゅうかくも手伝います。 車につんでじゅんびが終わったら、朝ごはんをさっと食べて、八時に農業会館へ。おばさんたちが30人くらい店をだします。シートの上に今日の野菜をコンテナに入れてならべます。そのとき、緑色ばかりにならないように、ニンジンやトマトの赤、ナスのむらさきなど色合いを考えてきれいにならべるようにします。 はんばいかいしは9時ですが、ずっと前からお客さんがたくさんきていて、はやく買おうとするので、係のおばさんは「はじめのカネがなるまで待ってください。とりおきもだめですよ!」と声をからして回ります。そして、カネがなったとたん、お客さんはめぼしをつけていたものを買おうとします。だから、かいし直後はせんそうです。15分くらいであっという間に、ほとんど売り切れてしまいます。 おなじみさんは20人、人気のムラサキイモの料理法も教えてくれる今年はじめてのものや、前のときに人気のあったものなどをたくさんだすように、おばあちゃんと相談してもっていくので、売れ残るのはほとんどありません。今年はじめておじいちゃんがつくったムラサキイモは、とても人気があるのにはびっくりしました。なかがむらさき色をしていて、とても甘いです。栄養もあるそうです。あんこにしてもおいしいとお客さんがいっていました。
自分も手伝ってつくった野菜がどんどん売れるのは、とてもうれしいです。お客さんと話をしてたくさん買ってもらうのも楽しい。わたしが「おはようございます」とお客さんみんなにあいさつすると、「あいさつがいいから、もっと買うよ」というおじさん、「お姉ちゃんいるから、買っていくね」というおばさん。「この前、これおいしかったからまた買うね」というおばあちゃん。元気にあいさつすると、来てくれる人が多いみたい。おなじみさんは20人くらいいます。 ほかのお店では野菜のほかに、だいふく、こんにゃく、うめぼし、つけもの、ジャムなどいろいろなものを売っています。売るにはきょかがいるそうです。 わたしのように子どもが手伝っているのは、たまに来る子が一人、高校生のお兄さんもときどき来ます。でも毎週かかさず来るのは、わたしだけです。だから、婦人部のおばさんたちがアメをくれたりもします。 自分で売って売上げを数えられる朝市が、直売所より好き!わたしが一番うれしいのは、売上げのお金を数えるときです。お札がたくさんあるとすごくうれしい。売上げが少なかったときには、次はがんばるぞと思います。そして、おばあちゃんと何が売れるかなと相談します。だいたい、一回一万円くらい売れます。二万円くらいのときもあります。 一番イヤなのは、雨の日。お客さんの数が少ないからです。だけど、ほかのお店が売れ残っているのに、売り切れたときには「やった!」とうれしくなります。 スーパーにいくと、野菜を見て自分たちの野菜とくらべてしまいます。そして、「うちの野菜のほうが元気がいいな」とじまんしたくなります。 こんな土曜日の朝市が大好きだから、ずっとつづくといいのに、来年の春にはなくなるそうです。まちの農協で毎日、野菜市を開くようになるからです。野菜市に野菜を毎日だせるようになるけど、朝市のように自分で売ることはできません。とても残念です。 おばあちゃんは、「家の前で売るといいよ」と言っています。いまでも、お正月の前に自分の家の前に店をだして、わたしや妹、弟がお正月用の野菜やお豆を売っているからです。
車いすの人用に、40個のプランターでイチゴ栽培に挑戦中いままではおじいちゃんがつくった野菜を売るだけだったけど、これからはつくることにもチャレンジしたいです。この秋に、ハウスでイチゴをつくることにしました。
おじいちゃんに手伝ってもらって、プランター40個くらいにつくっていて、もう白い花も咲き始めました。おじいちゃんのていあんで、イチゴがなったら近くのようご学校にもっていって、車いすの子たちにイチゴつみをしてもらおうと話しています。イチゴ狩りのハウスは車いすが入れないから、プランターをはこんで楽しんでもらおうというのです。学校でこうりゅうしているので、ようご学校の子たちはよく知っています。 わたしは自分でつくったイチゴを朝市で売ることを想像すると、ワクワクします。お客さんに、「このイチゴ、わたしがつくったんだよ」と言ったら、なんて言うかな? きっとあっという間に売り切れるだろうな。 これからもずっと、おばあちゃんの農業を手伝っていきたいです。 (取材・まとめ 安間節子) |