道の駅「織姫の里なかのと」のカラー野菜(黒澤義教撮影)
新型コロナウイルスで世の中がガラッと変わった。
免疫力を高める「健康需要」や
家で食事をする「巣ごもり需要」が急増。
今こそ、品種の力で新しい売り方を開拓するときだ!
巣ごもり需要をねらっていく
売れる
有機栽培で味の違いが出せる品種
長野・礒辺和明
苦みのないコマツナ「はっけい」を収穫する筆者(38歳)。2016年に有機JAS認証も取得
標高900mの中山間地で、年間約30品目の野菜を無農薬・無化学肥料で栽培しています。生協やスーパー、自然食品店、直売所、レストランなどに出荷する他、個人向けに野菜セットも販売しています。
2020年は新型コロナウイルスの影響で飲食店関連からの受注は激減しました。しかし、生協と個人向けの野菜セットは、数日おきに「今までまったく知らない人から注文がきた!」という具合にかつてないほどの売れ行きでした。どうも「買い物に行きたいが感染が怖くて行けない」という都市部の方に喜ばれたようです。
品種選びは「自分が美味しいと感じること」を大事にしています。味で選ぶと新品種よりも昔からある品種が残ることが多いのですが、お客さんに胸を張って勧められる美味しい品種がいくつかあるので紹介します。
▼コマツナは苦い、なんていわせない はっけい(サカタ)
コマツナは新品種も出ていますが「緑が濃い」「大きくなりすぎない」と見栄えや収穫のしやすさなどの作業性をウリにしたものが多い。そういう品種は食べると特有の苦みが強い傾向があるようです。
はっけいはずいぶん前からある品種で、大きくなりがちで、色もだいぶ薄めです。ただ、苦みは少なく食べやすい。堆肥や緑肥を中心に少チッソ栽培すると、さらに苦みが減り、サラダでも食べられます。わが家の子供も大好きで、サラダ、味噌汁、炒め物、お浸しと毎日のようにバクバク食べています。
▼もはやモモ!? 軟らかさナンバー1のカブ スワン(タキイ)
春と秋の野菜セットに必ず入れる定番野菜。これも何十年も前からある品種ですが、耐病性や傷のつきやすさ、棚もちがイマイチというデメリットがあるようです。ただ、身の軟らかさとジューシーさはピカイチ。生食や浅漬けがとても美味しい。味噌汁やスープに入れると旨みが出汁となり、一味違うスープになります。
スワン。スーパーで買う他のカブとははっきり違うと心待ちにしてくれているお客さんも多い
▼肉詰めの肉がいらなくなるピーマン ニューエース(タキイ)
お客さんから「ピーマンの肉詰めを作ったら、息子に次から肉は詰めないで焼いてほしいといわれた……」との感想が届くほど美味しいピーマン。肉厚でジューシー。有機栽培で育てるためか苦みも感じられず、果物のようでさえあるが、香りなどはまさしくピーマン。子供やピーマン嫌いの人でも喜んで食べてくれます。
▼巣ごもり需要にミニハクサイ! タイニーシュシュ(サカタ)
巣ごもり需要が高まる今こそぴったり。キャベツ以上の常備菜になるのではと期待しています。特徴はその大きさ。250〜400gの頃に収穫します。家庭用の冷蔵庫にちょうど収まるサイズと喜ばれます。
キャベツよりも軟らかで食べやすい。サラダで、煮て、炒めて、漬物でと楽しみ方も様々。浅漬けのタイニーシュシュをアボカドと和えたサラダは、わが家の人気メニューです。
(長野県佐久穂町)