自由自在! バックホーのアタッチメント
自作アタッチメントならここまでできる
千葉・橋本桂一
バックホーはもっと活躍できる
私は千葉県印西市で米の専業農家をしています。神奈川県で25年ほど単身会社勤めをした後、父とバトンタッチして8年になります。会社では建築資材の製作や販売、営業も事務も経験し、実家に帰ってからは稲作一本です。
ぬかるむ田んぼが多いうちの場合、稲作にはバックホーがどうしても必要です。深みにはまったトラクタを引き上げる、暗渠を埋設する、重量物を移動させるなど。力仕事をまかせているうちに、これはもっといろいろなことに使えるのではないかと気付きました。バックホーはアタッチメント次第で、もっと活躍できます。
自作アタッチメント5選
水路掃除用アタッチメント
農業用水の水路さらいをこちらでは「みおさらい」といい、みんなでスコップを持ち寄って溜まった泥や砂をさらっていました。しかし、何百mもの水路(深さ60cmのU字溝)に半分以上も泥が溜まっていると、始める前から諦めてしまい、結局何年もそのままになっていました。
そこで考えたのが、バックホーのU字溝用バケットです。わざわざ専用のアタッチメントが必要なのか、という人もいますが、移動性と作業効率を考えると、どうしてもこれが必要でした。移動しながらU字溝をさらうには、車体と横に出したバケットを平行にするのですが、通常の仕様ではできないのです。
ミニ爪
田んぼに水を送る幅15cm程度のU字溝は、手作業で泥をさらえばいいのですが、少しでもラクをするためにバックホーのバケットの先に付けるアタッチメントを作りました。この程度の小さな爪であれば角度はあまり気になりません。
ゴミ集め用のレーキ
バケットや排土板にレーキを装着すると、刈り取った草やゴミを油圧パワーでどんどん集められるため、非常にラクです。また、イモ類の収穫(掘り取り)にも使えます。
丸のこアタッチメント
山沿いの農道では、張り出した木の枝がトラックや機械に当たるので、枝打ちが必要です。しかし脚立や高所作業車での枝打ちは効率が悪く、常に落下やハチ刺されなどの危険にさらされます。
そこで、バックホーの長いアームの先に丸のこを持たせました。これで、人が高い所に登らなくても作業できます。バックホーで移動しながら枝を落とし、補助員が片付けるようにすると、枝打ち作業が本当に早くてラクです。
防草シート設置アタッチメント
草刈りが大変なところに張る防草シートは、よほどしっかり固定しないと風であおられてしまいます。シートの端を土に埋めてしまえばいいのですが、手作業では無理なので、やはりアタッチメントを作ってバックホーにやってもらっています。防草シートを繰り出しながら、円盤状の差し込み機で垂直に埋設します。これでどんな強風でもビクともしません。
農家のバックホー選び
長いアームと力強いクローラ、そして強力な油圧パワーで活躍してくれるバックホー。さまざまな大きさがありますが、農家が選ぶ際には2〜3tクラスがいいと思います。これより小さいと力不足、大きいと重すぎて、移動や運搬に問題が生じます。特に田んぼに入れたとき、沈んで腹がついてしまうと、すぐ立ち往生です。
購入する際にはもちろん新車がいいのですが、中古品も数多く出回っています。ネットオークションでも見つかりますが、ぜひ現物確認をおすすめします。キレイに見えても塗装でごまかしていることや、見えないところに不具合があることも多いからです。「重機は足回りが命」。特によくチェックしましょう。メーカーによる違いはあまりなく、造りが頑丈なので、オイルやグリスなどできちんとメンテナンスされていれば、長く使える機械です。最近は盗難品も多いので、車体のシリアルナンバープレートもしっかり確認しましょう。
年式が新しいほどいいと思いますが、重機は使用時間が目安になります。新しければいいというわけでもありません。ただし、古い機種はウエイトが後ろに張り出していて邪魔ですが、最近のバックホーはこれがなく、小旋回できて作業がラク。また、走行に「倍速」があれば移動も早く、アームに「ブレーカー配管」があれば使えるアタッチメントの幅が広がります。
アタッチメント自作のすすめ
このユニークな油圧重機は、バケットやハサミなどアタッチメントを交換することでさまざまな可能性が広がります。今はいい時代です。アタッチメントを作るのに必要な部品はネットでいくらでも手に入るし、困ったときのヒントも探せます。枯渇することのないアイデアという資源があれば、なんでもできそうな気がします。私はYouTubeでも情報発信しているので、ぜひこちらもよろしくお願いいたします(「Hashimoto K.」で検索)。
(千葉県印西市)
この記事で紹介したアタッチメントを撮影した動画がルーラル電子図書館でご覧になれます。
https://lib.ruralnet.or.jp/video/