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ホオノキ ローリエ レモン カキ

生葉がレストランからひっぱりだこ

静岡・杉本正博

筆者(68歳)。レストラン向けに野菜、ハーブ、果樹などを130種類以上栽培。葉は右からホオ葉、カキ(5〜10月出荷)、ローリエ(周年)、レモン(周年)(写真はすべて赤松富仁撮影)

ホオ葉が年間500枚売れる

 わが家の畑の土手に大きなホオノキが自生しており、4月中旬から新芽が吹き出して、萌黄色からつやのある濃い緑色の大きな葉になります。5月中旬には私の手の平より大きな真っ白い花がつき、イチゴのような甘い香りが辺り一面に漂います。

 私は地元や首都圏など40店のレストラン、ホテルと付き合いがあります。5年ほど前、生のホオ葉を料理に使えないかと思いつき、各店に提案してみたところ、数店から問い合わせがあり、販売を始めました。

 イタリアンレストランでは葉の大きさを生かし、肉や魚、野菜などを包んで蒸し物にしたり、オーブンで蒸し焼きにしたり。料理を包んで出すと、開くときのワクワク感があり、アルミホイルのようにガサガサしないのも好評とのことでした。

 和食レストランでは、蒸し物や蒸し焼きの他、刺身や前菜の盛り合わせなどを載せる器として使われています。和食の器には、ハランの葉も使われますが、大きすぎるために少し使い勝手が悪いようです。ホオ葉も長さ25p程度の小さめのものを指定されることがあります。

 ホオ葉は1枚120円で販売。高いと言われたことはなく、1年に500枚以上売れています。

昔から自生するホオノキ。暑くなると葉の質が落ちるので、出荷時期は5月上旬から7月中旬まで。虫食いのない色のきれいな葉を選ぶ

ローリエ、レモン、 カキの葉も

 わが家はホオ葉の他にも、ローリエ(月桂樹)やレモン、カキの葉なども販売しています。

 ローリエは乾燥した葉の流通が多いのですが、私は生の葉で出しており、洋食レストランで煮込み料理の香りづけに使われています。乾燥ものよりさわやかな甘い香りが強く、青葉を牛乳に一晩浸けておき、その牛乳を加えてパンやケーキを焼くと、この上ない香りがついて上品な味になります。

 レモンの葉もよく売れます。レモンバーム、レモングラス、レモンバーメナなどのハーブだと、若干鼻をつく香りがありますが、本物のレモンの葉は、カンキツ特有のさわやかな香りが引き立ちます。大きめの葉を出しており、洋食で肉や魚を包んでオーブンで焼くのに、もってこいの素材だそうです。

 カキの葉は和食レストランに出しており、料理を包む他、器としても使われています。ローリエやレモンの葉は1枚12円ですが、カキの葉は少し大きいので32円。どれも年間1万円弱の収入になります。

カキやレモンの葉は萎れやすいため、ペーパータオルを重ねて水を含ませ、切り口を包んで出荷。ローリエとホオ葉は萎れにくいので必要ない

 レストランとの付き合いでは、マイナーなものや珍しいものを提案し、要望に対応すると、「こんなものが」と思うものが高い価格で売れるようになります。

(静岡県三島市)

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