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今だからこそ見直したいへの字稲作 井原豊さんの著書、待望の復刊!

痛快!な男、井原豊

「への字稲作」の提唱者である井原豊さんは、兵庫県太子町の稲作農家だ。1980年から、1997年に67歳で亡くなるまで、『現代農業』や単行本で健筆をふるった。

 V字型稲作が全盛の時代に、イネの姿に対するイメージ転換を訴え続けた。への字稲作での初期の田んぼの寂しい姿を称した「ノーパンスケスケのイネ」、中間追肥後の見事な開張姿を表わす「ゴリラのガッツポーズ」など、わかりやすく、時に人を食ったような痛快な表現で、読者の心を掴んだ。

井原豊さん(故人)。約1.5haの田畑でイネ、ムギ、野菜を栽培しながら、執筆、講演活動に力を注いだ。『現代農業』への初登場は1980年9月号

への字の魅力が増してきている

 当初は「低コスト、省力」に注目が集まったへの字稲作だが、時代が移った今、改めて見直してみると、他にも大きな魅力がありそうだ。

 一つは、近年多い高温の中でも、夏バテを起こしにくい点だ。猛暑となった昨年、各地で高温登熟障害が報告された(8月号)。しかし、兵庫県の近藤忠宏さん(7月号100ページ)は、出穂45日前の中間追肥でイネの活力を維持。出穂30日前につなぎ肥を効かせたことで、周囲で乳白米が多発する中、穂肥や実肥なしで白濁の発生を防ぐことができたという。

 への字稲作の中間追肥だと、穂肥に比べて後半にタンパクが残りにくいため、食味の向上もねらうことができる。184ページの尾崎大作さんは、食味が上がらないことが長年の悩みだったが、への字栽培にして「明らかに上がった」そうだ(7月号91ページ)。食味への注目が高まる今、収量を保ちながら良食味を狙える方法として、一つの選択肢となるかもしれない。

 近年は流し込み施肥や、尾崎さんのようなへの字型肥効の一発施肥を用いた、省力的なへの字稲作も登場している。技術の発達や、その人の取り組み方によって千変万化できる稲作、それもへの字の魅力だ。

長谷川精一さんが所蔵する『痛快イネつくり』と『痛快コシヒカリつくり』。これらに加え、『写真集 井原豊のへの字型イネつくり』も復刊予定だ

井原さんの著書が多数復刊!

 さて、農文協は2020年3月に創立80周年を迎える。これを記念し、イネの生理生態・栽培技術を網羅した『イネ大事典』(3巻3万円+税)を1月に刊行するほか、イネ関連の名著を多数復刊する予定だ。その筆頭が10月発行予定の『痛快イネつくり』『痛快コシヒカリつくり』、そして『写真集 井原豊のへの字型イネつくり』。今回登場した長谷川さんや尾崎さんも、こうした井原さんの単行本を入り口に、自分なりのへの字を確立してきた。

 これらの名著はすでに絶版になっていたが、満を持しての再登場だ(電子書籍版は「田舎の本屋さん」サイトより購入可能)。復刊に際し、以前のB6判からA5判へとサイズもアップ。読みやすくなった書面から溢れ出す、痛快な言葉の数々に触れてみてはいかがだろうか。

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2019年10月号
この記事の掲載号
現代農業 2019年10月号

特集:2019年土肥特集 連作障害ってホントはなに?
ぐんぐん広がる鉄散布/自分でできる土壌病害診断/野菜の姿で見る 追肥のタイミングと効果/今、への字稲作に大注目/育苗培土のお悩み解決/牛が喜ぶ草地の土づくりほか。 [本を詳しく見る]

痛快 イネつくり(復刻・改題付)★10月25日発売予定 省農薬、省肥料で安定多収、金が残るイナ作のやり方を全公開。「10年おくれているイナ作指導」にまどわされず、コストをぎりぎりに下げた、痛快かつ豪快なイネをつくろう。 [本を詳しく見る]

ここまで知らなきゃ損する 痛快コシヒカリつくり(復刻・改題付) 減農薬・低コスト、良質米を倒さないでつくる、元肥ゼロ、中期一発追肥の「への字稲作」。コシヒカリを中心に良質米のつくりこなし方を詳述。遅植えコシヒカリや有機栽培も紹介。 [本を詳しく見る]

写真集 井原豊のへの字型イネつくり(復刊・改題付) 省力・減農薬・低コスト、しかもコシヒカリなど良食味米を倒さずつくれると大評判の井原流「への字イナ作」。従来のイネつくりとどこがちがうのか。豊富な写真で、生育の特徴とつくり方のポイントをわかりやすく解説。 [本を詳しく見る]

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