ベテラン土壌肥料研究者からのメッセージ
君たちは土とどうつきあうか
施肥過剰による障害や土壌病害の深刻化、耕盤による土の物理性の悪化、土壌微生物への期待、環境保全型農業の推進…
そんな課題を背負って、都県の土壌肥料研究者として活躍してきた4人の団塊世代が、次世代におくる。
左から小川吉雄さん、加藤哲郎さん、藤原俊六郎さん、安西徹郎さん
『新版 土壌肥料用語事典 第2版』藤原俊六郎 編 安西徹郎 編 小川吉雄 編 加藤哲郎 編 生産・研究現場の必須用語を網羅。土壌とその機能、植物栄養と品質、地力や肥料による作物生産、効率施肥、有機質活用、環境保全などの分野で新用語を充実。現場からの関心、角度で読みとれる関係者必携の一冊。 [本を詳しく見る]
メッセージ1
チャレンジ・ザ・穴掘り!
安西徹郎
土づくりで大事なのは、
土が根にとって居心地のいい場所かどうか。
でも、実際に穴を掘り、
土の状態を確かめたことがある人は少ないのでは?
土の良し悪し、改良すべき点は、
スコップ2掘り分の穴掘りでわかります!(倉持正実撮影、以下Kも)
『だれにもできる 土の物理性診断と改良』JA全農肥料農薬部 編 安西徹郎 著 収量アップは土の物理性改善が肝。スコップ2掘りで、だれでも土の状態を診断できる。診断結果のフローチャートで土層改良に必要な対策も早わかり。豊富な写真と実例で、土の見方と改良法をやさしく解説した決定版。 [本を詳しく見る]
メッセージ2
根の気持ちになって耕し方を工夫しよう
加藤哲郎
耕すことは土とのつき合いの基本中の基本ですが、
耕し方しだいではマイナスになることもあります。
前章では安西さんが、
穴を掘って土の断面や根の状態を見てみようと
メッセージを送っています。
それを受けて、根から見たよい土と
耕し方について考えてみましょう。(赤松富仁撮影)
メッセージ3
肥料を上手に使うためにpHとECによる簡易診断を
加藤哲郎
ひと昔前までは、肥料をやるのは作物の栄養のためで、
作物が吸収する分をやればいいと単純に考えても
大きな問題はなかったのですが、
今ではそう簡単ではありません。
施設栽培やトンネル、マルチなど
雨が入らないために肥料分が蓄積していく土壌が増え、
あるいは堆肥といっても
肥料分の多い家畜糞尿を使ったものが多く、
それも勘案して施肥する必要が出てきました。
「化学性」の面から、土とのつき合い方を考えてみましょう。(赤松富仁撮影)
『だれにもできる 土の物理性診断と改良』JA全農肥料農薬部 編 安西徹郎 著 収量アップは土の物理性改善が肝。スコップ2掘りで、だれでも土の状態を診断できる。診断結果のフローチャートで土層改良に必要な対策も早わかり。豊富な写真と実例で、土の見方と改良法をやさしく解説した決定版。 [本を詳しく見る]
メッセージ4
土壌微生物とどうつきあうか
藤原俊六郎
微生物は目に見えないし
役割も解明できていないので、
土壌微生物の活動に
過剰な期待を持つことがあるのですが、
特定のスーパー微生物がいて、
それがすべてを解決するなんてことはありません。
ここでは、期待しつつも過剰な期待を持たない、
土壌微生物とのつきあい方を考えてみましょう。木質チップ堆肥などの有機物マルチにキノコが発生(編)
『新版 図解 土壌の基礎知識』藤原俊六郎 著 土壌肥料についてわかりやすく図解した12万部の超ロングセラーを、新しい視点を付け加えて全面改定した最新版。津波害、放射能汚染問題についても記述。基本的なことがよくわかるとともに、現場指導者にも役立つ。 [本を詳しく見る]
メッセージ5
自然がつくった土、人間がつくる土、環境を守る土
小川吉雄
複雑な地形をもつ日本では、
自然が多様な土(土壌)をつくり、
それを活かして多様な農業が生まれ、
そして、その土が環境をつくり
環境を守っています。
少し大きな話で
メッセージをしめくくりましょう。ススキが火山灰土を黒ボク土に変えてくれた(270ページ)(倉持正実撮影)
『土と施肥の新知識』 渡辺和彦 著 後藤逸男 著 小川吉雄 著 六本木和夫 著 全国肥料商連合会 企画・発行 わかる!土・肥料の基礎知識。できる!少肥・効率の肥培管理――有機物循環の土づくりや輪作・緑肥の積極活用、土壌・栄養診断の実際とそれに基づく作物別施肥法など、肥料屋さんがつくった土・肥料のテキスト。 [本を詳しく見る]
この記事の掲載号『現代農業 2018年10月号』土肥特集2018:今さら聞けない 肥料選びの話
追肥のタイミングも地力も指標作物で見極め/雑草をバンバン使う土づくり/廃ホダ木を使いこなす/微生物診断で菌力アップ2/田んぼの地力ムラに挑む/日本の田んぼで硫黄が欠乏!?/使えるぞ! 汚泥肥料/肥料散布をラクに、上手に/君たちは土とどうつきあうか ほか。 [本を詳しく見る]